ル・マン24時間レース参戦マシン「TS050 HYBRID」に込められた、トヨタの想いとは?

TOYOTA GAZOO Racing は「もっといいクルマを作る」ため、WRC(世界ラリー選手権)やWEC(世界耐久選手権)、ニュルブルクリンク24時間耐久レース、SUPER GT、SUPER FORMULAといった国内外の様々なレースにチャレンジし続けています。

17年振りに復帰を果たしたWRCでは、昨シーズン、復帰初年度にして2度の優勝をはじめ、多くの表彰台を獲得。

2018年WRC第5戦ラリー・アルゼンティーナでは、今シーズンからTOYOTA GAZOO Racingに加わったオット・タナック、マルティン・ヤルヴェオヤ組が優勝し、注目を集めました。

そしてもう一つ注目したいのが6月16~17日にフランスのサルト・サーキットで行われる、WEC第2戦ル・マン24時間レースです。

今年で86回目となるル・マン24時間レースは「世界一過酷な耐久レース」と言われ、2016年にはトップを走行していた中嶋一貴選手のドライブする5号車がラスト3分でトラブルに見舞われ、優勝を逃すという衝撃的な出来事がありました。

私はその瞬間をサルト・サーキットで見ていたのですが、あの時の光景は2年経った今でも脳裏に焼き付いて離れません。

そんなル・マン24時間レースを目前に控えたTOYOTA GAZOO Racingが、5月29日に「ル・マン事前メディア説明会」を行いました。

トヨタ自動車 GRマーケティング部 部長 北澤重久氏は、WECそしてル・マン24時間レース参戦について以下のように語りました。

「ライバルのアウディ、ポルシェが撤退し『ワークスとしてトヨタが1社だけ残ることに意味があるのか』とたくさんの方から聞かれましたが、豊田(章男社長)の『次の100年もクルマを楽しくしていきたい』という言葉に参戦の意味があると思います」

また最先端のハイブリッド・システムを搭載した究極のハイブリッドカーで戦うWECは、トヨタ自動車の未来にも大きく関わってくるのだそうです。

「自動車が100年に一度の大変革期にあると言われるような状況の中でトヨタ自動車はクルマを作る会社だけではなく、モビリティカンパニーに進化していきます。豊田は『自動車屋出身の我々がモビリティサービスの会社になっていっても、クルマを“愛車”と呼んでもらえるような存在であり続けたい』と口にしています。これはもちろん、我々トヨタの社員も願っていることです」

そして東京オートサロン2018で発表されたWEC参戦マシン「TST050 HYBRID」を実際に公道で走れるクルマにしたコンセプトモデル「GR Super Sport Concept」の開発にもル・マン24時間への参戦はかかせないといいます。

「『GR Super Sport Concept』を開発するにあたり、ル・マン24時間レースで24時間走りきるという所まで技術と技能を高めきれていない、というのが現状でした。なのでル・マンに挑戦し続けることでこのような技術を高めていくというのが、参戦への一つの想いでもあります」

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
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