年次改良内容はこれらエンジンや内外装のみにとどまらず多岐にわたるものでした。この点について開発主査の富山さんに伺いながら、以下に報告します。
従来の年次改良でもハンドリングと乗り心地のバランス、操安性の向上には手を入れてきましたが、今回は根本の考え方を変えたということです。従来のCX-3では路面の凹凸をいなす際などは「車体の入力の大きさを抑えようとする方向で、とりわけサスペンションに注力してのセッティング」が進められてきたとのこと。
今回の年次改良では「サスペンションのみならず、タイヤやシートなど車両全体で衝撃をいかに滑らかにコントロールするか」ということに主眼をおいて開発を進めたそうです。具体的にはフロントダンパー径を拡大したり、純正装着タイヤを新規に開発し直してサイドコンパウンドの柔らかいものに設定するなどしたということでした。
また静粛性能についても大きく向上したということです。
「CX-3はもともとディーゼル専用車として(日本では)販売開始された経緯から、ディーゼルエンジンのネガティブな部分を感じさせないよう、もともと遮音性は高くしてきましたが、今回のモデルはそこからさらに静粛性能を高める措置を取りました。大きなところとしてはドアの鉄板の厚さを0.65mmから0.7mmサイズアップしています。また室内では、天井シーリング材を6mmから8mmへと厚くして、より快適な静かな空間を作れるようにしています」
というわけで、かつてないほど広範囲にそして大規模に手が入った新型CX-3。熟成を極めたモデルだと言えるでしょう。
(写真/小林和久 動画・文/ウナ丼)