【ココがおかしい日本のクルマ&交通事情】第1回・サンキューハザードが危険を招く!?

サンキューハザードが持つ危険性は合図の意味が曖昧になってしまうことです。例えば走行中にハザードランプを点滅させるというのは、突然の体調不良に見舞われたときなどに限定すべきです。トヨタのヘルプネットはそうした思想で構築されています。そうすれば、ハザードランプを点滅したクルマには非常事態が起きていることがわかり、救助もスムーズに行われるでしょう。しかし今の日本は、非常であるべきハザードランプが日常と化しています。

サンキューハザードを行う人になぜ行うのか?を聞くと「あとから煽られることを防ぐため」とか「やっておけば問題が起きづらい」といった話をよく聞きます。もはやそこには「サンキュー」つまり感謝の気持ちはなく、面倒を避けるための行動になっています。それって、繁華街の飲食店などが地回りのヤクザに払う「みかじめ料」と同じです。感謝の気持ちを伝えるなら手を上げましょう、窓を開けて手を出して挨拶したっていいでしょう。「みかじめハザード」なんてやめて、ハザードランプに本来の意味を取り戻しましょう。

もし、どうしてもサンキューハザードを行いたいという人は、まずは法律を改正する運動からするべきです。それが手順ってもんです。

(文・諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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