サンキューハザードが持つ危険性は合図の意味が曖昧になってしまうことです。例えば走行中にハザードランプを点滅させるというのは、突然の体調不良に見舞われたときなどに限定すべきです。トヨタのヘルプネットはそうした思想で構築されています。そうすれば、ハザードランプを点滅したクルマには非常事態が起きていることがわかり、救助もスムーズに行われるでしょう。しかし今の日本は、非常であるべきハザードランプが日常と化しています。
サンキューハザードを行う人になぜ行うのか?を聞くと「あとから煽られることを防ぐため」とか「やっておけば問題が起きづらい」といった話をよく聞きます。もはやそこには「サンキュー」つまり感謝の気持ちはなく、面倒を避けるための行動になっています。それって、繁華街の飲食店などが地回りのヤクザに払う「みかじめ料」と同じです。感謝の気持ちを伝えるなら手を上げましょう、窓を開けて手を出して挨拶したっていいでしょう。「みかじめハザード」なんてやめて、ハザードランプに本来の意味を取り戻しましょう。
もし、どうしてもサンキューハザードを行いたいという人は、まずは法律を改正する運動からするべきです。それが手順ってもんです。
(文・諸星陽一)