【WRC2018・第5戦アルゼンチン】得意のグラベルでトヨタ・ヤリスWRCが今シーズン初勝利!

2018年WRC(世界ラリー選手権)第5戦ラリー・アルゼンチンが4月26日(木)から29日(日)に南米・アルゼンチンのビラ・カルロスパスを中心に開催され、トヨタGAZOORACINGのオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組が優勝。トヨタにとって今シーズン初勝利となった。

今年、南米・南半球で唯一の開催となるラリー・アルゼンチンの路面は一部を除いてほぼグラベル(未舗装路)。DAY1はシェイクダウン後にSS1:ビラ・カルロスパス(1.9km)が開催された。唯一舗装路面と未舗装路が混在するSSを制したのはティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー組のヒュンダイi20クーペWRC(1:54.4)

トヨタGAZOO RACINGではタナク組が0.3秒差の総合2位と前戦ラリー・フランスからの好調を維持している。エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組は1.3秒差の6位。ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組は1.6秒差の9位とやや出遅れる。

しかし、シェイクダウンではトップタイムを刻み、「アルゼンチンのSS特徴的な部分を含んでいて微調整を加えられた」と順調な仕上がりを伺わせるコメントを残した。

DAY2はホストタウン:ビジャ・カルロス・パスの南「カラムチータバレー」の7SS(合計154.2km)を走行する。SS2 VILLA DEL DIQUE(16.65 km)ではセバスチャン・オジェ/ジュリアン・イングラシア組のフィエスタWRCが8:55.7のトップタイムをマーク。

アンドレス・ミケルセン/アンダース・ジーガー組のヒュンダイi20クーペWRCが2位、トヨタヤリスWRCのラトバラ組が3位に入る。SS3 AMBOY – YACANTO(33.58 km)がタナク組が19:19.9 で初のトップタイムを刻む。ここでラトバラ組はコーナー出口の死角にあった石でサスペンションをヒット、26:19.9と25位に沈む。この後ラトバラ組はSS7迄走行を続けたが、リタイアとなった。

SS4 SANTA ROSA – SAN AGUSTIN(23.85 km)でも、タナク組は続けてトップタイムをマークする。SS5ではダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオのヒュンダイi20クーペWRCに勝利を奪われるが、再びSS6からSS8迄トップタイムを3連取。DAY2終了時には2位クリス・ミーク/ポール・ネーグル組のシトロエンC3 WRCに22秒7のマージンを築いた。

トヨタ勢のもう一台エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組はタイヤのリムが外れると云うトラブルが3度発生し、一時4位迄上げた順位を8位に下げた。

DAY3になってもタナク組の快進撃は止まらない。SS9からSS11迄、前日から6連続ステージウインを挙げる。

SS12では総合2位に上がったヌービル組に優勝を奪われるが、42.2秒と差を広げる事に成功する。SS13,14は再びステージ優勝を遂げ、DAY3/SS15終了時には2位ヌービル組に対して、46.5のリード。3位ソルド組は遥か1分以上後方(1:08.2)。最終日DAY4のSSは3つ。まだ合計50kmを越えるSS区間が残っている。

DAY4最初のSSはラリー・アルゼンチンの名物ステージ「エル・コンドル」(EL CONDOR – COPINA(16.32km)。

コース脇に巨岩が剥き出しで接触即大ダメージのステージでタナク組はペースを落とし着実にゴールを目指した…とはいえ、SS3位。SS17,18でも4位をキープ。2位のヌービル組に37.7秒差を付けて優勝を収めた。タナクは移籍後初、トヨタは復帰後北欧以外での初勝利となった。

3位はダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ (ヒュンダイi20クーペ WRC)ポイントリーダーのオジェ組 (フォード フィエスタ WRC)は4位、残る1台のヤリスWRCのラッピ組は8位であった。

オット・タナク (ヤリスWRC 8号車) は

「このチームで最初の優勝を飾ったことに特別な思いを感じます。改善を重ねた結果クルマは急速に進化し、現在は完全に私が望む状態に仕上がり、確固たる自信を持って走ることができています。また、チームが私をしっかりと支え続けてくれることに心から感謝しています。この難しいラリーで初めて優勝でき、とても満足していますが、決して簡単なラリーではありませんでした。
序盤はかなり激しく攻め2位との差が大きく広がったので、以降はペースをうまくコントロールすることができました。そして今日は、さらに余裕を持った走りをしました。すべてが良い方向に向かっており、上位との選手権のポイント差も縮まってきています。シーズンはまだ長いので、次戦以降も今回と同じように戦い続けたいと思います。 」

と語った。

ラリー・アルゼンチン 総合結果
1 オット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリスWRC) 3h43m28.9s
2 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +37.7s
3 ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +1m15.7s
4 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (フォード フィエスタ WRC) +1m58.6s
5 アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー (ヒュンダイ i20 クーペ WRC) +2m02.6s
6 エルフィン・エバンス/ダニエル・バリット (フォード フィエスタ WRC) +3m06.3s
7 クリス・ミーク/ポール・ネーグル (シトロエン C3 WRC) +3m25.7s
8 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (トヨタ ヤリス WRC) +4m32.6s
9 テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ (フォード フィエスタ WRC) +5m38.6s
10 ポントゥス・ティディマンド/ヨナス・アンダーソン(シュコダ ファビア R5)+12m15.8s
リタイア ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC)

これにより、タナク組はチャンピオンシップポイントを27積み上げ、72ポイントとなった。
ランキングは3位のままだが、1位オジェとの差を11ポイント、2位ヌービル組とは4ポイント詰める事に成功した。
ランキング4位以下は55ポイント未満。暫くはフォード、ヒュンダイ、トヨタのエース格によるタイトル争いに注目が集まりそうだ。

次戦WRCはラリー・ポルトガル。ポルトガル北部ポルト近郊のマトジニョスを中心に5月17日から20日迄開催される。コースはグラベル(未舗装路)、砂状の路面や硬い岩盤など複雑なサーフェスが待ちかまえている。

(川崎BASE・写真:TOYOTA GAZOO RACING/ Jaanus Ree/RedBull ContentPool)