【新車】トヨタの燃料電池バス「SORA」は災害時の発電機としても機能する!

東京オリンピック・パラリンピックまでに100台以上の普及を目指す、トヨタの燃料電池バス「SORA」

トヨタグループによる燃料電池バスは、かつて愛・地球博で運用したこともあり10年以上の歴史を持ちますが、国内で初めて型式認証を取得したのが「SORA」なのです。バス停で乗り降りする、いわゆる路線バス用として生まれた燃料電池バスであり、その燃料電池システムは世界初の量産型燃料電池車といえるトヨタ「MIRAI」ゆずりというのが特徴です。

もちろん、4人乗り乗用車「MIRAI」のパワートレインで定員79名の路線バスを動かすというのは現実的ではありません。ルーフ上に搭載された燃料電池スタックや通常のバスではエンジンが置かれるボディ後方に配置された駆動モーターは、MIRAIの2台分を搭載。さらに変速比を最適化することでバスを動かすのに十分なパフォーマンスを実現しています。

その合計出力は226kW(308PS)、最大トルクは670Nm。実際、すべての座席がうまり、ちょっと混んだ状態くらいでも、SORAはなんの問題もなく、むしろエンジン車よりもスムースに坂道もあるルートを走り抜けました。電動車両ならではの走りは、重量面でピュアEVよりも有利な燃料電池車だからこそ、よりメリットとして感じられるのかもしれません。

しかし、燃料電池を積んだ電動車両であることは走りのスムースネスにつながるだけではありません。走行中には水しか排出しないゼロ・エミッションであることもメリットです。そして、災害時には大容量外部電源供給装置として活用できるようにも設計から配慮されているのでした。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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