HKSソアラC240の開発コンセプトは「純正」。その意味とは? その6【OPTION 1984年12月号より】

【400psオーバーも可能なパワーユニット】

コンプリートカーとして日本最速を目指すなら、なんといっても強力なパワーソースを持たなければダメだ。

そこで使われたのは、5M-GEUをベースに3Lにチューンし、ツインターボを装着するという手段。しかも燃料系はマニアックにキャブレターに変更されている。300km/hオーバーしたM300とパワーソースを同一にする。

だが耐久性を考えてチャージ圧を抑え、250km/h巡航レベルにディチューンしてあるのだ。その点、325psのパワーユニットにとってゆとりのパワーといっていい。

パワーを強化した場合、サスペンション、タイヤ、ブレーキのチューニングはストリートにとって不可欠! 最も重要視したいパーツでもある。

まず、サスペンションはダンパーとスプリングのデータを変更してのチューンが行われている。例えばダンパーでは、ピストンスピードで0.8m/sec以上になった時に急激に減衰力が増加するというように設定。つまりコーナリングでGを強烈に感じるようなときに、その能力を発揮するようにしてあるわけだ。だから0.8m/sec以下、つまり通常運転のときにはトヨタ純正のダンパーと大差なく、乗り心地も変わらないように感じるのだ。その差はハードランで!ということになる。

タイヤも文句なしに重要だ。パーツに見合った高性能が要求される。250km/hで何時間も巡航するのだから、ハンパは許されない。それなりのパフォーマンスを持たなければ危険である。

その答えをHKSは、ヨコハマのアドバンA-008で解答した。このタイヤはヨーロッパ向けのもので国内販売されていないが、間もなく販売するという噂はある。基本的にはアドバンHF-Dと同じトレッドパターンを持っているが、中身は全く違うらしい。

ブレーキのチューンでは、ディスクパッドの変更で対処している。ノーマルで4輪ディスク、しかもベンチレーテッドという高級なものが付いているからだ。だからデータ的にはパッド交換というレベルで十分なのだ。が、さらにチューンすることも難しくない。望めば、ディスク径の拡大とか、キャリーパーのツイン化とか……。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
続きを見る
閉じる