となれば、マカン(ベーシックグレード)の場合も同じようなことを思えるのだろうか?
「4気筒エンジンとはいえ、そのぶん軽く仕上げられていますから、軽快感があります。速さにしても十分でしょう。実際、以前サーキットで走らせたことがありますが、トヨタ86よりちょっと遅いくらいのタイムで周回できますから。それにGTSと比較するのはナンセンスかもしれませんが、素のマカンは快適性が高い。同じマカンでも、ここまで異なるセッティングを施すとは、見事だとあらためて思いましたね。かといって、きちんとスポーティな走りにも応えてくれる柔軟性を兼ね備えているから、むしろ感心してしまう部分が多々あります」
それに対して引き合いに出した、最近、大人気のレクサスRX450h Fスポーツはどうか? Fスポーツ独自の足まわりを与えているうえ、アクティブスタビライザーやパフォーマンスダンパーなど、スポーツ走行に適した統合制御システムをもつことも特徴としているが……。
「正直に言わせてもらうと、全体的にスポーティを演出しているようですが反応は鈍いです。攻め込んだ時など最初は不安。だけど最後の方で応えてくれるイメージです。サスペンションのセッティングも、あまりスポーティとは思えません。それにハイブリッド車だから重い。ノーマルから比べればスポーティなのかもしれませんが、色んな面でちょっと疑問が残ります。もちろん、悪くはないんですけど。エンジン音だけは意外と良いのは驚きましたが……」
さらに、こう続けた。
「実は価格設定をみて驚きました。素のマカンは、700万円をきっているんです。それに対してレクサスRX450h FスポーツのAWDは、それ以上。マカンはベーシックグレードとはいえ、“ポルシェ クオリティ”です。今日、あらためて乗って、すごくリーズナブルに感じられましたね」
最後にスポーツSUVにとって重要なことは何かと訊いてみると。
「パワー&トルクの数値や、足まわりのセッティングも大事ですが、実はスポーツカー同様、ブレーキ性能がものをいうんです。いくら速くでもブレーキに信頼がおけなければ、すべて台無し。その点、ポルシェは揺るぎない。『宇宙一、強力なブレーキ』と言われて久しいですが、未だに他のメーカーはポルシェを超えられないのは事実でしょう。例えSUVでも真剣にサーキット走行まで視野に入れて開発しているのは、ポルシェだけだと想います。実際に攻めれば攻めるほど実感しますね。だから普段使いでも安心して身を任せられるようになるんです」
激化するスポーツSUV市場の中でも、常に頂点に君臨し続けられるポルシェには、確固たる理由があることが明白となった。最新モデルが続々とデビューする中においても、カマン及びGTSは、決して色褪せるないどころか、むしろ如何にその完成度が高いのか、あらためて気付かされたのは間違いない。やはり「恐るべし、ポルシェ」である。
TESTER◎田中哲也(Tetsuya Tanaka)/TEXT◎野口 優(Masaru Noguchi)/PHOTO◎小林邦寿(Kunihisa Kobayashi)
(GENROQ 2018年4月号より)
【関連記事】
【Porsche Macan GTS試乗】マカン・ターボ所有の田中哲也が「マカンGTSを選べばよかった」と思った訳は? https://clicccar.com/2018/04/09/575745/
【Porsche Macan試乗】700万円を切る「素のマカン」でもポルシェ・クオリティなのか? https://clicccar.com/2018/04/10/575746/
【関連リンク】
ポルシェ カスタマーケアセンター tel0120-846-911 http://www.porsche.com/japan/
ジャガーコール tel0120-050-689 http://www.jaguar.co.jp/
レクサスインフォメーションディスク tel0800-500-5577 http://www.lexus.jp