日本車の高いシェアは今後も続く? 事務局長インタビュー・前編【バンコク・モーターショー2018】

タイのモータリゼーションも大きな変化を迎えているなかで開催された「第39回バンコク・インターナショナル・モーターショー」にて、モーターショー事務局長のジャトロン・コモリミス氏のインタビューを行った。前編の続きをお届けする。

── タイのEV事情をお聞かせ下さい。

「タイは自動車に対する輸入関税が非常に高いのですが、EVやPHVは関税が優遇されています。しかし、充電インフラがまだまだ整っていません。バンコク市内ではショッピングモールなどに行けば充電器がありますが、東北地方に行ったらまず充電はできません。しかし、これからは増えていくことだと思います」

── 日本車のシェアが非常に高いと思うのですが、これは今後も続きますか?

「トヨタは昨年9万台の乗用車を販売しました。BMWは例年7000〜8000台程度です。この数字からもわかるように日本車は圧倒的に売れています。その大きな原因はなんと言っても価格です。BMWはX1や3シリーズでも200万バーツはします。対してカムリは180万バーツです。ヨーロッパ車は価格が高いのでなかなか売れないというのが実情です。もし国民の所得が上がったらヨーロッパ車の比率が高くなるでしょう。ヨーロッパ車が欲しいと思っている人は多くいますが、高価で買えないというのが実情です。あこがれがヨーロッパ車にあるのは、日本と同じ状況だと思います。ですので、500万バーツのレクサスに対して同カテゴリーのBMWが380万バーツで買えてしまうので、この場合はBMWのほうが売れるため、レクサスは販売で苦戦しています」

── タイは国産車を作ることないのでしょうか?

「それはないでしょう。マレーシアのプロトンなどを見てもわかるように成功はしていません。それよりもタイ国内に工場を誘致して生産したほうが効率もいいですし、いい製品ができるのです。近々、アウディがアッセンブリー工場を作るという話もありますので、タイの自動車産業はますます活性化すると思われます」

(文・写真:諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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