ツインリンクもてぎにあるホンダコレクションホールが、開館20周年を記念した新展示開催にあたり、ホンダの歴史上欠かせない車両を走行させる特別イベントを行いました。そこで、数回に分けて実走車両を紹介していきます。
ホンダは1963年10月、同社初の4輪車としてスポーツモデルのS500を発表しました(軽トラックのT360と同時発売)。
初の乗用車がオープン2シーターモデルというあたりがぶっ飛んでいますが、実はこのようにメーカーの初期にスポーツカーを生産するというのは、当時は少なくない話でした。
たとえばマツダ初の4輪車はR360クーペというスポーティなモデル(1960年)でしたし、ダイハツもセダンをベースにした4シーターオープン・コンパーノスパイダーというクルマをデビューさせたのは1964年でした。
が、ホンダのすごい、というか変わっていたところは「出して成功!」ではなくて「そこからが本番!」とばかりにどんどん改良モデルを出していくところです。
ここに紹介するS600は前出のS500の排気量アップ版です。が、そのデビュー時期はなんとS500発表の5ヶ月後!の1964年3月。
531ccから606ccへ排気量をアップしたエンジンを搭載し、グリル形状を変更した以外はほとんどS500を踏襲していたとはいえ、当時の人はさぞやびっくりしたことでしょう……と思いきや、S600はなんと翌1965年には早々に生産終了! 1966年からはさらに排気量をアップしたS800へと世代交代していくのでした。
当時のホンダの時間感覚、独特すぎます!(褒め言葉)……おそらく、バイクのモデルチェンジに近い感覚(バイクでは1年単位でエンジンはもちろんフレームまで根本的に変更されることも少なくありませんでした)で作っていたのでしょう。
とはいえ、当時新車で”S”を買いたいと考えた人は「いつ買うのがベストなの!?」と気が気でなかったと思いますが。
主要スペック
全長×全幅×全高:3300×1430×1200mm
4気筒DOHC 606cc
最高出力:57PS/8500rpm
最大トルク5.2kgm/5500rpm
(写真・動画・文/ウナ丼)
【関連リンク】
ホンダコレクションホール開館20周年新展示「Honda夢と挑戦の軌跡」
http://www.twinring.jp/collection-hall/event/1803_hch20th/