一方「排ガスがキレイなだけじゃない」のが最新ディーゼルエンジンのトレンドでもありまして、ここにこそ「フォルクスワーゲン・ディーゼルならではの特徴」が出てきます。その特徴とは「気持ち良さ」が追加されていることです。
この「気持ちよさ」にはさまざまな要素が絡んできますが、ひとつ目には特殊なターボの恩恵が挙げられます。
パサート用2L・TDIのターボチャージャーには可変ガイドベーンを設けました。エンジン回転数に応じて排ガス通路面積を変更して、常時最適な過給圧を狙える仕組みとしています。これにより高レスポンスが得られます。
もう一つは圧縮比を下げ、高回転も楽しめる仕様としたことが挙げられます。一般的にディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて高圧縮ですが、このエンジンではこれを15.5程度に抑えています。圧縮比が下がればムービングパーツの重量を下げて高回転まで回すことができる素性ができます。
この素性をもとにパサート用2L・TDIでは最大トルクを1900rpmから発生させつつ、ディーゼルエンジンとしては比較的高い3300rpmまでそのピークを維持するセッティングとしました。また最高出力はディーゼルエンジンとしては低めの3500rpmから発生させ、これを4000rpmまでキープします。
このトルクとパワー特性のマッチングで、低回転からのディーゼルらしい加速はそのままに高回転まで回ることで、自然に最高出力発生回転数へとつなげていくことができました。これは乗ってみるとドライバーには「伸びやか」さとして実感できます。
トルクフルでありつつ気持ちよく上まで吹ける、回して楽しむ志向のディーゼル。これこそがフォルクスワーゲンTDIの大きな個性なのでした。
●パサート ヴァリアント TDIハイライン・主要スペック
全長×全幅×全高:4775×1830×1510mm
車両重量:1610kg
エンジン形式:直列4気筒ターボ・ディーゼル
排気量:1968cc
最高出力:190ps/3500〜4000rpm
最大トルク:40.8kg・m/1900〜3300rpm
価格:509万9000円
(写真/小林和久 動画・文/ウナ丼)