OPT300ZXの耐久レース挑戦へ、東名自動車の協力体制確保! 実は乗りノリ!? その5【OPTION 1984年11月号より】

気合と根性と情熱があれば、世界耐久レースだって挑戦できる! とはいっても、やはりレースのプロによる協力無くして何も進みません。そこで名乗りを上げてくれたのが、老舗名門「東名自動車」サマです。

無謀とも思えるOPT300ZXの挑戦に、巻き込んだ?巻き込まれた??東名自動車のホンネを覗いてみましょう。

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名門・東名自動車の作戦
「大変な計画だけど、楽しくやりましょうよ!」

OPT300ZXの耐久レース挑戦計画も、編集部の情熱だけではできない。エンジンチューンだけでも走れない。レースとはマシンそのものの仕上げが必要なのだ。まして新型の300ZXはレースを想定して作られていない。すべてを最初から開発しないといけない宿命にある。

そこで、シャシーやマシン全般を引き受けてくれることに決定した東名自動車の鈴木社長と一問一答だ。

OPT:今回はお世話になります。

鈴木:最初、この話を聞いたときは冗談だと思ったんだよ。現在のレースは雑誌屋さんが簡単にやれるようなものじゃないからね。それもサニークラスならいざ知らず、ニューZだろ。

OPT:だから、HKSさんや東名さんに協力してもらおうと思ったわけでして…。

鈴木:ま、考えてみたら面白い計画なんだよな。うちだって日産グループなのに、イメージカーのZがレースをやらないのはつまらないもの。だけど、うちがやれば中途半端じゃできないし、結果も大きく影響する。だからOPTのチャレンジ精神に協力するということですね。

OPT:本当なら東名さんにエンジンやってもらうのがスジなんでしょうけれど。なんたってZクラスのツーリングカーで実績のある所は東名さんくらいでしょ。問題はなんたって、駆動系やサスペンションになると思いますし。

鈴木:エンジンがV6の3Lターボでフルチューンすれば400や500psは出てしまうからね。ミッションやデフ、それと重いボディを止めるブレーキなんか、シルエットフォーミュラ並みの強力パーツが必要だ。どうしようか?

OPT:うちもスポンサー探しますけど、東名さんのほうでもコネ使ってなんとかして下さいよ。でも、この計画自体は市販車ベースでどこまでやれるかというのがテーマですし、あんまり本格的に悩まないで下さい。

鈴木:そりゃそうだけど、この300ZX、耐久でどのクラスか知ってる? 最高クラスのC1だよ。あのポルシェ956と一緒だよ。

OPT:ええ、知ってますけど、考えないことにしています。正気じゃできませんので、なんとかグリッドに並べば…ということでお願いしますよ。ところで85年からの耐久、レギュレーションなんか変更されますか。

鈴木:それほど大きな変更はないみたいだ。燃料制限だけ15%アップあたりになりそうだけど。あまりガスを食うチューンができないから、これも300ZXじゃ大変な問題だな。

OPT:そこらはHKSさんと東名さんのエンジンノウハウを話し合っていただくとか。あまり今から脅かさないで下さいよ。レースは楽しみながらやらなくちゃ。あくまでもプライベートのチャレンジなんですから。

鈴木:そういうことだね。本気出されたらこちらも大変だ。ま、85年の耐久は6月が第1戦だから、マシン作りはシーズンオフからとして、サスペンションなどの発注やデータ取りをすぐ始めるよ。

OPT:なにかテストしたいニューZ用のパーツなんか、どんどん使って下さい。それもプロジェクトの目的ですから。

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フレッシュマンレースに出るのとはワケが違う、世界耐久レースへの挑戦。東名自動車サマも楽しみつつ頭を抱えているようですネ。次回その6では、歴代フェアレディのレースでの活躍をプレイバックしてみましょう。

[OPTION 1984年11月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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