全国に100ヶ所もある活火山、お出かけ前に知っておきたいこと【車中泊女子の全国縦断記】

前回の記事【阿蘇山・中岳火口の見学が再開されました!】は、訪れた3月2日のうちに書き上げたのですが、公開された5日にはすでに立ち入り規制により閉鎖された後となってしまい、読者の皆さまには大変失礼しました。
規制解除された2月28日には濃霧で見学不能だったそうですから、実質3月1日と2日の、たった2日間しか開かなかったことになります。

<熊本県【あそ望の郷】からの眺め/中央が中岳の噴煙>

よく旅先で筆者が熊本出身と知ると「修学旅行で阿蘇山に行ったよ」と、老若男女からエピソードなどを聞かせてもらいます。しかし、「でも火口へは行けなかった」という方がとても多いです。立ち入り規制されていない期間であっても、【阿蘇火山防災会議協議会】から『阿蘇火山西火口規制情報』が毎日更新され、火山ガスや濃霧などにより急きょ立ち入り禁止となる場合が起り得るからです。

それだけ、阿蘇中岳火口への立ち入りは厳しく制限されています。安全のためですから、どうか「運が悪かった」とは思わないでください。

<鹿児島県【道の駅たるみず】から見た桜島>

九州で阿蘇山同様、年中噴煙を上げている活火山と言えば鹿児島県の桜島が有名です。鹿児島県では毎朝の天気予報で風向きを報じているほど身近なもので、道路わきには火山灰が当たり前のように積もっています。「今日は天気がいいですね」と同じくらい「今日は灰が降らなくていいですね」という挨拶が交わされるのが日常です。

しかし最も警戒されているのは霧島山(御鉢/新燃岳)です。温泉保養地として有名な【国民宿舎 霧島新燃荘】はじめ近隣の温泉施設は休館中、【高千穂河原ビジターセンター】も休館中、【えびのエコミュージアムセンター】は通常営業中、と各地の観光協会ホームページに記載されていますので、訪れる前にチェックするのをお忘れなく。

<宮城県【蔵王】の〝お釜〟>

気象庁|日本活火山総覧 活火山リスト(PDF)】によると、全国には100ヶ所の活火山があります(北方領土も入れると111ヶ所)。

わざわざ登山をしなくてもクルマで気軽に火口まで行けるところもあり、宮城県の蔵王もそのひとつです。こちらも3月6日に、仙台管区気象台より「噴火警戒レベル1」に引き下げの発表があり、想定火口域(馬の背カルデラ)から約1.2km範囲内の避難勧告が解除されています。蔵王温泉や蔵王温泉スキー場などへの観光客も増えそうですね。

<北海道【望岳台】から十勝連峰を一望>

日本は狭い国土に対して100ヶ所もの活火山を有する火山大国。そのお陰で温泉などの恩恵にもあずかっており、観光地として名を馳せているところばかりです。気にし過ぎてはどこへも行けなくなってしまいますが、備えあれば憂いなし。【気象庁|火山登山者向けの情報提供ページ】にて、噴火警報や火山の状況に関する情報が随時発表されていますのでチェックしてみてください。

また、各活火山の【火山防災マップ】を自治体などが発表していますので、お出かけ前に調べておくとイザというとき慌てずに行動できるはずです。

もしも降灰に見舞われたら、すぐにマスクをしてください。火山灰はいわゆる「燃えかすの灰」とは違って鉱石が主成分であり、服の隙間に入り込めばガラス質で肌がチクチクします。吸い込んでしまったら、言わずもがな。コンタクトレンズを装着している方は、必ず外してください。万が一、目に灰が入ってしまったら絶対にこすらず顔面全体ごと洗眼して、眼科で処置してもらいましょう。

クルマに火山灰が付着した場合は、決して手で触ったり、拭き取ったり、ワイパー(ウォッシャー)で落とそうとしてはいけません。ガラス質によりフロントガラスが傷つく原因となります。いきなり高圧洗浄機やコイン洗車機にかけるのもNG! 大量の水で、こすらずに根気よく洗い流すのが最も効果的です。火山灰は水によって固まる性質があり配水管が詰まる恐れもありますので、必ずガソリンスタンドなど施設の方の指示を仰ぐようにしてください。

(松本しう周己)

 

この記事の著者

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松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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