「EVシフト」がキーワードとして取り上げられることが多くなっていますが、車両価格や水素ステーションの設置費用の高さから、日本が官民あげて取り組んでいる水素社会への見方は一部で厳しいものがあるのも事実。
また、水素ステーションは2020年度までに160カ所、2025年度までに320カ所程度設置するという官民あげてのロードマップも当初の計画どおり進んでいないという指摘もあります。それでも短時間で水素充填が可能で、航続可能距離もバッテリーEVよりも長くなる水素については、乗用車だけでなく商用車への搭載も進んでいくはず。
そんな中、3月5日にトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、JXTGエネルギー、出光興産株式会社、岩谷産業、東京ガス、東邦ガス、日本エア・リキード、豊田通商、日本政策投資銀行の11社により「日本水素ステーションネットワーク合同会社」(以下、「JHyM(ジェイハイム)」:Japan H2 Mobility)の設立が発表されました。
「JHyM」ではFCV普及初期における水素ステーション事業の課題を踏まえて、インフラ事業者や自動車メーカー、金融投資家などがそれぞれの役割を果たすとしています。
その狙いは、上記11社を中心としたオールジャパンでの協業により、戦略的な水素ステーションの整備、水素ステーションの効率的な運営に取り組むことで、FCVユーザーの利便性向上を図るというもの。
さらに、FCV台数の増加、水素ステーション事業の自立化、さらなる水素ステーションの整備という「FCVと水素ステーションの好循環」の創出を目指すそう。
具体的には、国の補助金政策、自治体の普及に向けた取組みなどを総合的に勘案しながら、独自に「水素ステーション整備計画」を策定し、日本全国でFCVが乗れるようにする目標を掲げています。
ほかにも、水素ステーションのコストダウンや規制見直しへの対応、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)、「HySUT」などの外部機関と連携し、水素ステーション機器・システムの標準化や規制見直しなどの検討を通じて、コストダウンを図るとしています。
(文/塚田勝弘 写真/トヨタ自動車、ホンダ)