リチウムイオンキャパシタで大型乗用車の電動パワステ市場を狙うジェイテクト

スマートエネルギーWeek2018「第9回[国際]二次電池展〜バッテリージャパン〜」が、2018年2月28日(水)〜3月2日(金)の期間、東京ビッグサイトで開催されています。

大小さまざまなバッテリーが並び、電動化が叫ばれる自動車関連メーカーも数多く出展しています。また、中国、韓国などの海外からの出展も多く、例年にも増して盛況な展示会となっています。

ステアリングや自動車用駆動部品を手掛けるジェイテクトも、この二次電池展にブース出展しています。そこに登場したのは2017年11月に発表されたリチウムイオンキャパシタです。

キャパシタは、バッテリーと違って一度に高いエネルギーを放出する瞬発力、高い出力密度、長寿命、さらに高い安全性といった特徴があります。ただし、蓄電容量は限られており、耐熱性に課題がありました。

2019年の量産を目指すとしているこのリチウムイオンキャパシタはラミネートタイプのもので、既存のキャパシタとの大きな違いは、高耐熱と低温性を両立する特徴を持つということです。

これにより、自動車に搭載が可能となったということです。自動車に搭載するために要求される環境動作温度範囲は、エンジンルーム内でマイナス40℃から125℃まで、室内ではマイナス40℃から85℃となります。

このジェイテクトのキャパシタは、内部に使用する素材を変更した独自の特許技術により、マイナス40℃から85℃まで使用可能となるということです。さらに、動作時の上限電圧を制限することで105℃という環境下でも使用可能となります。

ジェイテクト・ブースには、リチウムイオンキャパシタ単体とともに、電動パワーステアリング(EPS)の模型が置かれておりました。これこそジェイテクトが狙っている「キャパシタの使い道」ということのようです。

現在、運転支援や自動運転の普及・拡大という流れを受けて、EPSの適用拡大が進んでいるということです。しかし、大型車両へは依然として油圧のパワーステアリングが使われています。

なぜかといえば、そういったクラスでEPSを搭載するには12Vの車両電源では出力が不足するから、ということです。そこで、EPSにキャパシタと充放電コントローラーをプラス、車両電源(12V)にキャパシタ2直列からの6Vの電圧を付加すれば18Vの高出力化が実現できるということです。

すでにこのリチウムイオンキャパシタを搭載したテスト車両での試験を行っているということで、このキャパシタを搭載した車両が我々の目の前に現れる日も近いということです。

(青山義明)

この記事の著者

青山 義明 近影

青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
続きを見る
閉じる