ジェイテクト、空転トルクを低減して燃費低減につながる一方クラッチを開発

ジェイテクトは、同社の軸受事業のブランド「Koyo」から、自動変速機の逆転防止機構に使用される「一方クラッチ」の空転時のトルクを従来比1/5と大幅に低減した製品を開発したと発表しました。

「一方クラッチ」は、自動車の自動変速機をはじめ、二輪車のスターター、ヘリコプターのローター、ベルトコンベア、釣具のリールなと、いろいろな機器・装置の逆転防止機構に用いられる軸受の一種です。

一方クラッチは、外輪の内側に保持器に収納されたコロがバネで一方向に押された状態で保持された構造になっています。コロは角度θで傾斜した空間に保持されており、軸が正回転のロック方向に回転すると、コロが角度θの傾斜で空間が狭くなる方向に移動して軸と外輪をロックし、軸が逆回転方向に回転するとコロが保持器の壁で空間が広くなる方向に押されて、軸と外輪が空転する仕組みになっています。

このような一方クラッチには、逆回転時に動力伝達を切断して空転し、正回転時には極力エネルギーロスを少なくして動力を伝達する役割があり、空転時の抵抗(空転トルク)が動力伝達に大きく影響することから、空転トルクの低減が求められています。

ジェイテクトが開発した一方クラッチの要点は次の3点です。

1.ばねの形状を最適化して一方クラッチの低トルク化を実現(同社従来製品比1/5)
2.ばねの材料をステンレス鋼にして高い耐久性を確保
3.外輪の成形をプレス加工化して肉厚を薄くし、保持器に樹脂材を採用して軽量化

特に、一方クラッチのばねの形状については、ばねの板厚・幅・長さを最適化することで、確実なロック機能を維持したまま、空転トルクを徹底的に低減した一方クラッチの開発に成功したということです。

自動変速機に新開発の低空転トルクの一方クラッチを採用すれば、自動車の低燃費化につながることが期待できます。

(山内 博・画像:ジェイテクト)