【日産・セレナ e-POWER試乗】初代リーフ登場から9年。精密な電流制御で最適化された発進トルクに注目!

全長4.7m・全幅1.7mの規格にほぼ合致する”5ナンバーフルサイズ・ミニバン”クラス。このカテゴリーではノアヴォク系とステップワゴンがストロングハイブリッドを用意していましたが、セレナにはマイルドハイブリッドしかありませんでした。

が、このたび日産はe-POWERシステムを備えてこの戦線に参加します。

e-POWERシステムとは2016年にノートに先行採用したシリーズハイブリッド機構です。特徴はタイヤの駆動は100%モーターのみで行うこと。しかしそのモーター作動用のバッテリーはガソリンエンジンが充電するというのがポイントです。

セレナ用システムは基本構成をノートと同一にしますが、ミニバンに搭載するにあたって各部を大きく容量アップしてきました。ガソリンエンジンは、ノートと同型式の1.2L・HR12DE型ながらノートの58KWから62kwに増強しています。

バッテリー容量は1.5kwhから1.8kwhにアップしました。

そして駆動力の要であるモーターも80kw&254Nmから100kw&320Nmへと25%も出力アップしています。つまり、ノートe-POWERの「特盛り版」なのです。

もっともこれはノートよりも数百Kg重い車重に配慮しての措置なので、この数値だけを見てもスポーツ性が期待できるわけではありません。

……のはずなのですが、しかし! 今回、クローズドコースで一般道走行スピード程度で試乗してみての印象は「快活そのものだな!」というものでした。

低速から湧き出るトルクが3列シートの大柄な車体をグイグイ引っ張ってくれます。

この「ゼロ発進から強大トルク」というのはモーターが持つ特性そのものではあります。しかしながらモーター駆動車ならすべてがこの気持ちいい発進加速を発揮できるというわけでもありません。

というのは、いくら大きなトルクを得ることができるとしても駆動系が収容しきれないほどの大トルクが一気にかかるとジャダーが出るなどして推進力にはつながらないからです。

そこでキーになってくるのがモーターへの適切な電流制御技術になります。この分野において日産はピュアEV車のリーフで豊富な経験があることが強み。蓄積されたノウハウを投入することで、重量級クラス車であるセレナでも違和感なく大トルクを操ることができるようになっているのです。

2009年の初代発表から9年。日産はここに来てリーフでの種まきを一気に回収のモードに入ったのだな、とわかる(新登場なのに)熟成された出来映えでした。

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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