同じコンパウンドで新旧のトレッドパターンを比較する【スタッドレスタイヤのグリップをパート別に分けて理解する・その2】

横浜ゴムの北海道テストコースTTCHで行われたスタッドレスタイヤの勉強会では、トレッドパターンの違いによるスタッドレスの進化の確認を行う機会もありました。この試乗では現行モデルであるアイスガードIG60と、先代モデルにあたるIG50プラスのトレッドパターンの差による性能チェックです。

単純に先代タイヤと現行タイヤを比較すると、コンパウンドも変更されていますのでトレッドパターンの差を正確につかむことができません。そこで横浜ゴムは、IG50プラスとIG50プラスのコンパウンドを使って作ったIG60を用意、試乗を行いました。

IG60のトレッドパターンはセンターのイン側よりにパワーコンタクトリブと呼ばれるリブ基調のデザインに溝とサイプを配置したデザインを採用、円周方向の溝をストレートデザインではなく、ジグザグとしたことで溝でもエッジ効果をねらっています。

実際に走らせてみると、スラロームなどでIG60デザインはステアリングを切ってすぐにタイヤが反応する感覚があります。まさにエッジが引っかかっているような走りとなります。IG50プラスデザインは、反応に遅れがあるのに対して、しっかりした進化を確認できました。また、氷盤路でのブレーキでも停止距離に1〜2mの差がでていました。フルブレーキングした際の最初のガツンという制動感もIG60トレッドのほうが上という印象でした。

(文:諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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