屋内テストコースを完成させた横浜ゴム。世界一のスタッドレスタイヤ開発に向けて大きく踏み出す

日本は世界でも指折りの豪雪地帯だと言われています。なんだか北欧のほうがそうしたイメージが強い感じもしますが、じつは降雪量は世界でも上位にあります。さらに、そうした豪雪地帯でありながら人口が多く、気温は高く、雪が解け夜間に凍結するといった状態が繰り返され、路面はアイスバーンとなっていく傾向にあります。

こうした過酷な状況が日本のスタッドレスタイヤ発展の大きな機動力になったのは間違いありません。今や日本のスタッドレスタイヤの氷雪性能は、世界一と言っても過言ではありません。日本のタイヤメジャーは、スタッドレスタイヤの開発に余念がなく、今も大きなウエイトを置いて開発が続けられています。

横浜ゴムもそうしたスタッドレスタイヤ開発に注力しているタイヤメーカーの一つです。横浜ゴムは2015年までは北海道上川郡鷹栖町にあったT*MARY(ティーマリー)と呼ばれるテストコースをおもに使用して冬季のテストを行っていましたが、2016年に旭川市内に北海道タイヤテストセンター(Tire Test Center of Hokkaido=TTCH)をオープンしました。

TTCHは総面積が90万6500平米、平坦地面積はT*MARYの約2倍となる41万2000平米を有しています。

すでにこのTTCHを使って、スタッドレスタイヤの開発を行っていますが、2018年からはさらに強力な施設がTTCH内にオープンしました。それが今回報道陣に公開された屋内氷盤試験路です。

従来の氷盤試験路は屋外にあったため日差しや風などの影響を受けやすかったのですが、この屋内氷盤試験路はそうした影響を受けずにテストすることができるため、試験回数を増やすことが可能なほか、安定したデータが取得でき、開発スピードをアップすることができます。

屋内氷盤試験路は全幅18m、全長94mで、乗用車用タイヤはもちろん、大型トラック用タイヤのテストも行います。大型の場合、トレーラーヘッドならばUターンが可能。さらに大きな車両や速度が速い場合は、シャッターを開放し停止するスペースを確保します。

こうした新しい施設を効率的に使い。横浜ゴムはスタッドレスタイヤを進化させ、世界一の性能を確保することを目指しています。

(文:諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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