単純にネオジムの一部をランタンやセリウムに置換しただけでは、磁石としての性能は落ちてしまいます。磁力も劣れば、耐熱性にもネガが出ます。熱によって磁力が落ちていくのがモーターの宿命。じつは「モーターがいい具台に暖まってきた」ということはなく、熱を持たないほうが性能は優れているのです。
そこで、トヨタが見出したのが、微細化・二層構造化・配合比という3つの開発ポイントになります。磁石を構成する粒の大きさを従来の5ミクロンから0.25ミクロンまで大幅に小さくすることで、耐熱性を上げています。さらに粒の表面にネオジムを集中させることで磁力を確保しました。そして、ランタンとセリウムの混合比を1:3とするという理想の配合比を見つけました。
ひとまずは研究室レベルで実現したという話で、量産化もまだまだ先ですし、ランタンとセリウムの配合比などロジックについては不明な部分もあるといいますが、ネオジムの使用量を減らしたモーターの実現できる技術が生まれたというは、電動車両の拡大に向けて大きなニュース。用途に応じて、ランタンとセリウムの混入量をコントロールすることで、ネオジムの削減効果が最大50%まで期待できるというのも注目です。
(写真:小林和久/トヨタ自動車 文:山本晋也)