人がゆったり乗れて、荷物がたくさん積めて、維持費が安くて……という実用的なクルマに求められるすべてを満足させてくれるのがハイトワゴン系の軽自動車です。なかでも、スズキスペーシア、ホンダ・Nボックス、ダイハツ・タントなどの「スーパーハイト系」と呼ばれるモデルは、販売競争が熾烈となっています。
スペーシアはその前身となるパレット時代から高い評価を受けていましたが、販売面ではNボックスとタントにリードを許していました。そんなスペーシアがフルモデルチェンジして2代目となり、一気に追い上げを目指します。
新しいスペーシアはワゴンRと同じプラットフォームを採用。ホイールベースは従来型より35mm長くなりました。また全高も50mm高い1785mmとして、室内高を35mmアップ。室内空間はかなり広くなりました。
フロントシートはベンチタイプですが、意外としっかりと身体をホールドします。チルトステアリングは付きますが、テレスコピックがないのがちょっと残念です。リヤシートの広さは抜群です。スーパーハイト系軽自動車のリヤシートは、ビッグセダンでもかなわない広さを誇るものです。リヤシートは210mmのスライドが可能です。
室内からはもちろん、荷室からもスライド可能で使い勝手を向上しています。フェールリッドの閉め忘れ表示など細かな部分まで気配りが行われているのがしっかり市場調査をしている感じを受けるところです。
搭載されるパワーユニットは52馬力の自然吸気エンジンとスペーシアカスタムに用意されている64馬力のターボエンジンの2種。どちらにも3.1馬力のモーター(ISG)を組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを採用しています。
このISGのおかげでどちらのエンジンもスムーズな発進を実現しています。また、ISGはエンジンの再始動時のスターターの役目も持っています。クルマに乗り込んで最初のエンジンはセルモーターで始動しますが、再始動時はISGで行われるので「キュルキュル音」がありません。
(文:諸星陽一/写真:前田惠介)