欲しかったのはライバルに負けない個性。スズキ・スペーシアが踏み出した新デザイン

王者NーBOXや、トールワゴンの代名詞であるタントといった、強力なライバル達に対抗できる個性を打ち出したい。いままでの延長ではダメだ、と考えたデザインは一体どのように発想されたのか。さっそくチーフデザイナー氏に聞いてみました。

── 本日はよろしくお願いします。まず、基本骨格の話からお聞きします。新型は先代に比べてピラーを立て、ベルトラインを高くしましたが、これは当初から決めていた要件なのですか?

「はい、かなり早い段階ですね。当初は、先代モデルに準じたフローティングルーフのイメージで先行モデルを数台作ったんです。そこで、どうしたら存在感のあるクルマを作れのるかを検討する中、こうしたキーワードが出てきました」

── そこから、初期案となるスケッチは数多くあったのですか?

「先代のイメージを継承しつつ、立体を組み合わせたモダン建築的な提案と採用案の2つがメインでした。前者は都会的ではあるものの、機能的過ぎて遊び心が足りなかった。一方、後者のスーツケース案は当初から手応えがありましたね」

── 早い段階から、そうした「コレ」という案があるのはよくあることですか?

「以前は複数案を比較検討しながら1次、2次案と進めることが多かったのですが、当初イメージから徐々に離れてしまう傾向がありました。なので、最近はできるだけ初期スケッチのイメージをそのまま残すパターンが増えていますね」

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
続きを見る
閉じる