約100年に亘り、天皇陛下や国王、国家元首、ロックスター、映画俳優などの著名人、もちろんビジネスの成功者に愛用されてきたロールス・ロイス ファントムがフルモデルチェンジし、日本で発表となりました。2017年7月ロンドン・メイフェアで初公開されて以来のことです。
その発表の場は、東京国立博物館敷地内にある法隆寺宝物館。ファントムには、宝物を大事にする場所がふさわしいとして選ばれたそうです。発表日当日は雪となり、あいにくの天気というよりは特別な日として相応しいとさえ思わせます。
けれど、安心してください。後席のVIPのための傘はロールス・ロイスの通例に従い、ドアの中に組み込まれています。
さらに実際、デザイナーは荒天でも美しく見えるよう検討したというデザインスケッチがあったようです。
デビュー以来、静かさを特徴として「ファントム(幽霊)」と名付けられただけあり、今回の新型ファントムも100km/hでの騒音レベルは10%低減しているといいます。そのため厚さ6mmの塗装、130kg以上の遮音材や吸音材を採用し、世界で最も静粛なクルマを創造しているといいます。
ファントムは、新世代ロールス・ロイス最初のモデルとなり、新設計のアールアルミ・スペースフレームはこのファントムを始め、SUVモデルであるカリナンにも採用されていきます。
その静かな心臓には、6.75リッターのツインターボV12エンジンを採用し、420kW(571ps)/5000rpm、900Nm/1700-400rpmを発生。
8ATを介して後輪を駆動して最高速度はリミッターが作動する250km/h、2.7tの車両重量ながら0-100km/h加速は5.3秒(エクステンデッド・ホイールベースモデルは5.4秒)とスポーツカーにも負けない動力性能も併せ持っています。
消費税込み価格はファントムが5460万円〜、全長が220mm長いファントム・エクステンデッドホイールベース6540万円〜でロールス・ロイス中で最高額となっていますが、そのままの状態で購入するというよりは、オーナーは自信の特注のファントムを注文することが多いのでしょう。
ファントムには世界初のコンセプトである「ギャラリー」を設けることができます。これはインスツルメントパネルをガラスで覆い、その中にさまざまなアートを設えることができるのです。
そのほかにも、シートの素材、刺繍、ウッドの種類やカラー、金属素材なども自由に選べるビスポークによりどんな仕様にもできる、ある意味価格はいくらでも上げられる、というのが実際のようです。
およそ100年の歴史を持つ高級車の実態は、幽霊のように姿形を変えていくとも言えるのかもしれません。