【東京オートサロン2018】エンジンを支え続けて60年、デンソースパークプラグのヒストリー展示

世界屈指のメガサプライヤーであるデンソーブースで目をひいたのは、デンソーブランドのスパークプラグ誕生から現在までのあゆみをまとめた展示でした。

そのヒストリーはなんと60年にもおよぶもの。内燃機関の歴史とともに歩んでいる歴史の重みを感じます。

それぞれの年代ごとの本物のスパークプラグを並べて展示してあるのですが、スパークプラグの実物を見る機会すら少ないのに60年前のプラグを見られるとあっては、なかなか興味深い体験ができます。

その構造は、現在でもおなじみのスパークプラグの形状と大きく変わるところはありません。白い部分は「碍子」(がいし)といいますが、その先に付いた電極から火花を飛ばす、という構造は変わらないのですが、その中身より大きく進化しています。

スパークプラグで大事な性能は「着火性」と「飛び火」性能だそうです。60年の歴史は、それらをひたすら高めるための努力だったそうです。

大きなターニングポイントは80年代。「白金プラグ」というフレーズを覚えている方はいらっしゃるでしょうか。白金合金を使った素材革新でふたつの性能が大きく飛躍しました。

現在の最新素材はイリジウム合金です。先端の形状の改善にも取り組み、肉眼で見えないぐらい細かいU字型の溝を刻んだ「ZUプラグ」も同年代に登場しています。

電極をより細くするためのチャレンジも続きました。細ければ細いほど強く確実な火花が飛ぶという特性を持つスパークプラグですが、その昔は1.5mmだったものはどんどん細くなり、現在の最新モデル「IRIDIUM POWER」(イリジウムパワー)では0.4mmになりました。これは業界ナンバーワンの細さで、2500度にも達する高温の燃焼室にも耐えうる究極の細さといえます。

信頼性の高さは、60年前からトヨタ車のエンジンに純正採用されていることからもうかがえます。いまではすべてのトヨタの新車に装着されているそうです。

時流に乗って華やかなに見えるコネクテッド技術などと違い、どちらかというと地味めのパーツですが、内燃機関を動かすためには欠かせないのがスパークプラグ。最近ではアイドリングストップ機構付きのクルマも増え、スパークプラグにもっとも負荷のかかるエンジン始動の回数は増えるばかり。耐久性・耐摩耗性の向上がより厳しく求められるようになったそうです。

燃費に関しても同様に、スパークプラグに求められる性能です。同社「TWO TOPS」スパークプラグは、高い着火性能により1.2%燃費が向上したというデータを誇っています。

60年の歴史は人間でいえば還暦。EVの台頭でスパークプラグにとっては逆風の時代かもしれませんが内燃機関がこの世にあるかぎり、プラグだけにライバルメーカーとも火花を散らしながら進化を続けていくことでしょう。

(畑澤清志)