【レッドブル・エアレース】2018年シーズンの開幕まで約1ヶ月、チャンピオンを獲得した室屋選手も着々と準備が進む

室屋選手の逆転勝利で幕を閉じたレッドブル・エアレース2017シーズン。余韻が残る年末年始ですが、実は2018シーズンの開幕が約1か月後に迫っています。

引退したポドルンシェク選手を除く13名は2018シーズンのタイトル獲得を目指し、既にトレーニングとレース機の開発に入っています。エアレースのマスタークラスは14名で争われるルールなので、ポドルンシェク選手の穴をチャレンジャークラスのパイロットが昇格します。今回の昇格者はベン・マーフィー選手(英)です。

マーフィーは元英国空軍のアクロバットチーム”レッドアローズ”の編隊長を務めた後に、民間のアクロバットチームに在籍。2016年よりチャレンジャークラスへの挑戦を開始しました。2018年からマスタークラスへの挑戦にあたり、在籍しているチームから参戦できるというのも昇格ポイントのようです。

なお、チャンピオンのフロリアン・バーガーは来年もチャレンジャークラスで3連覇を目指します。マーフィーは 参戦にあたり、機体はピーター選手が使用していたEDGE540 V2を継承するようです。

この機体は2017シーズン、サンディエゴで2位表彰台に上がった機体で、2015シーズン当初まで室屋選手が使用していた機体でもあります。

チャレンジャークラスでは皆が主催者により整備された同じ機体で飛行しますが、マスタークラスでは機体の確保とその開発、チームの運営も各選手が行います。昇格決定後に体制構築など、飛行以外のチーム運営に煩わされ、本来の能力を充分に発揮できない選手がいますから、チームが既に存在・機能しているのは最近参加した選手の中では恵まれています。

なお、マーフィー選手が抜けたチャレンジャークラスには、2名の選手(ダリオ・コスタ(伊)/パトリック・デビットソン(南ア))の参加が発表されています。

またブライトリングチーム以外のチームが使用している単座のEDGE540ですが、V2とV3では機体素材が異なっていますが、マスタークラスの機体は部材置換が許されているため、事実上性能の差とはなりません。一方で、チャレンジャークラスで使用されていたEXSTRA 330XLは複座の機体で、機体の基本性能がEDGEより劣っていました。

同一のレーストラックを飛行すると6秒前後は遅く、レーシングカーだとF1とスーパーフォミュラー以上の差がつきます(鈴鹿サーキットではF1とスーパーフォーミュラーのラップタイムは3秒弱の差)。この速度と旋回性能の差も昇格した選手を悩ませていました。そこで2018シーズンよりチャレンジャークラスの機体がEDGE540 V2に変更される事となりました。

これで昇格した際に、今までよりもパフォーマンスの差に悩まずに済みます。一方、チューンナップされた各機とチャレンジャー機(ツルシ)との比較も楽しみです。