【東京モーターショー2017】イリジウムって結局なんなの? 点火プラグの進化をNGKで聞いてみた。

東京モーターショー2017では自動車メーカーとともに様々な部品メーカーが出展しています。

特に専門分野に特化した部品メーカーでは、なんとなく聞くことのできないようないまさらな疑問をぶつけてみても、技術説明員の方々が丁寧にその疑問に答えてくれることが多いので、疑問があれば質問してみるのも面白いでしょう。

点火プラグでお馴染みのNGKでは、イリジウムを使った点火プラグをシリーズ化して大アピールしていますが、イリジウムというものがどんなものか解からない、という方も多いのではないでしょうか。

そこでイリジウムについて質問をしてきました。

そもそもイリジウムとは原子番号77の元素。元素記号は「 Ir」で白金族元素の一つ。白金とはいわゆるプラチナですが、そのプラチナよりも融点が700°kも高いので、常に高温に晒される点火プラグの電極には最適な素材だとされています。ただし採掘量が極端に少ないので非常に高価。点火プラグには合金として加工されたものが使用されます。

合金となっても融点が高いために電極を細くすることが可能で、この細くした電極に高い電圧をかけることで火花が集中して放電され非常に強い火花となるのだそうです。

NGKの展示ブースではニッケル合金の点火プラグとイリジウムの最高級プラグであるプレミアムRXを比較して、火花がどれくらい強く発生するかをリアルタイムにカメラで撮影した映像を見ることが出来ます。これを見ると火花の強さが実感できます。

この強い火花が不完全燃焼を抑制し、結果的に燃費や出力に良い効果を与えるのです。ガソリンエンジン車の場合は点火プラグをイリジウムを使ったものに換えるだけで1.6%、プレミアムRXに換えると2.2%も燃費が向上するとのこと。

数年前まではアフターマーケット商品だったイリジウムの点火プラグですが、現在はプラグ交換が構造的にやりにくい車種でイリジウム製品の10万km長寿命タイプが純正採用されてきているとのこと。

ニッケル合金製一般タイプの点火プラグは寿命が2万km程度。プラグ交換を怠ると燃費もパワーもダウンします。交換時期が訪れたらイリジウムの点火プラグで燃費もパワーも向上させましょう。

東京モーターショー2017の部品メーカーのブースでは、こんな「いまさら聞けない」ような質問を、本当に丁寧に答えてくれます。ちょっとでも気になることがあれば、この機会に技術説明員の方々に、どんどん質問してみることをお勧めします。

(写真・文:松永和浩)

 

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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