東京モーターショー2017は、エンジン車の進化についても新しいもの、進化したものが多数見受けられたのも事実ですが、やはり電動化や自動運転技術が目立っているのは確かです。
そんな中、マツダが出展した2台のコンセプトカー「VISION CONCEPT」と「魁(KAI)」は、そういう流れに動じないような、どっしりと「ドライバーがエンジンを使ってドライブしたくなるはず」と言わんばかりのクルマ本来の美しさを追求したと言えるものでした。
遠目に見ると、これまでにもジャンルとして存在した流麗なロングホイールベースのセダンと、走りも熱そうなホットな5ドアハッチのボディと思われがちですが、ボディの面構成はこれまでの一般的な市販モデルとは違います。
例えばドア側面は通常膨らんでいるもんですが、これらの2台は前方下部が逆に凹んでいて、それが後方上部へ繋がるに従い凸面となっています。
かといって途中に平らな部分があるわけではなく凹が自然といつの間にか凸に変わっているわけです。
この「いつの間にか変わっている」のは丸みがどこからかエッジになっていたり、どこからか膨らみの方向が曲がっていたりと、いろんな部分に見ることができます。
これをわかってもらうために、陰影のはっきりするメタリック系の塗装を施したり、ショー会場ではマツダのデザイナー自らがその変化がわかるようなライティングのための照明機器操作に指示を出したりしているといいます。
モーターショー会場ではターンテーブルの上でコンセプトカーが回っているのはよく見る光景ですが、普通は車両の前後左右を同じ位置から見えるようにしたサービスだと思われます。けれど、マツダの場合は面や光と影が連続的に変化する様子を観てもらうために使っているのです。それを意識して観ると、その美しさがより堪能できるのではないでしょうか。
(文・写真:clicccar編集長 小林 和久)