目次
注目のエンジンだが、主に吸排気系のチューニングを施している。すなわち、噴射ポンプの燃料流量の増大、ターボ過給圧を1気圧に高め、チャージクーラーの容量を大きくして、吸入エアの冷却能力を向上している。当然、ターボは高速にのみマッチングしている(IHIのターボ自体も若干、大きくなっている)。
また、カムシャフトを変えて、バルブのオーバーラップを大きくしている。これは濃い混合気による燃焼の冷却をも意図しているという。圧縮比は若干下げ(標準は21)、タイミング・リタードさせている。
あとは各部のバランス取り、フリクションの低減など、通常のファインチューニングレベルで磨き上げられている。
この結果、100マイル、1時間の短距離記録を狙う1号車で、128ps/4500rpmをしぼり出している。5000km、24時間を走る2号車は、120ps/4500rpmだ。このパワーの違いは、燃料の噴射量の多寡による。
こうした一連のチューニングアップでは、やはり熱負荷と機械的応力が厳しく、特に熱負荷に対処するために苦心したという。筒内圧は限界に近い120気圧だという。
【アスカ2000ディーゼルターボ改 主要諸元】
全長4600mm 全幅1670mm 全高1300mm
ホイールベース2580mm 車重1010kg
エンジン:水冷直列4気筒OHCディーゼル
IHIターボチャージャー付 排気量1995cc
タイヤ/ホイール:195/60VR14 16J-14アロイホイール
【ドライバー】津々見友彦/藤川元造/永田雅一/小東明寛
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
OPT派のチューニング好きには、ちょっと縁遠いいすゞ車ではありますが、この記録挑戦はまさに「ロマンに満ちた男のチャレンジ」だと思いませんか?
小ネタとして、私の記憶によるとこの後、いすゞ車に関する記事はFFジェミニが発売されたときの試乗記(確かコボちゃん)と、いすゞの乗用車販売からの撤退時にチューンド・いすゞ車を数台集めた記事が最後かと・・・。
もうひとつ小ネタ。第4ドライバーの小東明寛さんは、私・永光やすのが所有していた「ジェミニZZ/Rブラックヘッド仕様」を2Lにしたチューナーさんで、鈴鹿や中山のジェミニレースで常勝していた方です(笑)。
[OPTION 1984年1月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)