午後6時10分、突然のピットイン。異音が発生、あわただしい点検作業が行われ、約2分後にピットアウトしていった。雨が激しさを増した午後7時16分、今度は予定のピットイン。ドライバー交代、給油と、溝の深いレインタイヤに交換。2分間のピットインだ。
夜間になるとペースダウンする。ラップタイムで1秒、約1km/h程度ダウンする。雨による走行抵抗の増加で、エンジン回転が4350rpmに落ち、アベレージで2~3km/h落ちとなる。が、断続的に降っていた雨は、夜中の11時ごろに上がった。暗闇の中、孤独な疾走が続く。
夜が明ける。路面は完全なドライになる。予定外のピットストップによるロスタイムを取り戻すべく、ドライバーはペースを上げた。順調にゴールを目指していたアスカだが、午後2時、ゴールまであと十数分のところで油温上昇。「4280rpmに抑えろ」との指示を出し、ラップタイムを1分35秒台にペースダウンする。
そして10月22日午後2時41分、無事5000kmを走破したアスカ・ディーゼル・ターボはゴール、この静かなドラマは幕を閉じた。
5000kmを205.35km/h、24時間を205.35km/hで走り切ったわけだ。なお、燃費は7.7km/Lであった。
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谷田部を24時間走る・・・レースではなく、スピードチャレンジで。淡々と、ドライバーもメカニックも自己との戦いか。次回【後編】では、チャレンジしたアスカ・ディーゼル・ターボを紹介します。
[OPTION 1984年1月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)