ただのロング版じゃない! 5008はここが3008と違う!【プジョー5008 GT 試乗】

5008 GTのFFパワートレインはディーゼルBlueHDi180、つまり180ps・400Nm仕様にアイシン精機の6速ATであるEAT6が組み合わされる。

最近のプジョーは、1.6LターボのTHPに代表されるガソリンエンジンが、ディーゼルのように豊かな低速トルクで与えられた負荷を黙々とこなすのに対し、ディーゼルは回転数が上がるほどに伸びるフィール。

最強版ディーゼルの5008 GTは後者だ。のんびり走っている間は、エンジンの仕事ぶりに過不足はないし、やや固めてあるとはいえ穏やかなストローク感ある乗り心地だが、ひとたびテンポを変えて加速から制動、ステアリングまで速めに駆ると、途端にパンチが効き出す。ちょっと二重人格的!?と思えるほどに。4.6mのこの体躯にしては、ハンドリングの追従性やトルクのレスポンスも素晴らしいが、何より制動タッチに安心感がある点がいい。

とはいえ、どうしても3008と比べてしまうのだが、弟分ほどの小気味よさが印象として残らなかったのも事実。「ファミリーカーとしては」という枕詞つきで、躍動感とパンチを感じさせる一台なのだ。だがフランス車ではまだ少なかった、車速対応クルーズコントロールや衝突警告&軽減ブレーキといった最新ADASを積んだ点は、ファミリーカーという性質上、評価できる。

不満が残るのは、アイドリングストップ時のマナー。フロアが長くなったせいなのか、エンジンが停止もしくは再始動する瞬間に、強い揺さ振りを感じることがある。停止直前のシフトダウンとその揺さ振りが重なると、後続車に軽く追突されたかと思って振り返ってしまうこともあった。

より小さく軽いエンジンならそうした症状も出にくいと思うが、本国では3気筒1.2Lのピュアテック130psの6速MTも用意されている。小排気量で大人数を運ぶレバレッジの効かせ具合も、こういうピープルムーバーの魅力だと思うが、いかがだろうか?

(NANYO Kazuhiro)