6速MTとACCを組み合わせたホンダ・フィットRSを首都高で試乗

先行車をミリ波レーダーで検知、その速度変化に応じて自車の加減速をコントロールするACC、昼間の首都高という一定速で走ることが難しい交通状況において非常に有効なシステムです。しかしMTの場合は適切なギアを選ぶ役割は人間が担うため、こまめにシフトチェンジが必要なようでは本末転倒になるのでは? という疑問もありました。

しかし、それは杞憂でした。5速と6速で迷うような速度域で流れている首都高において、どちらのギアを選んでもフィットは何事もなく先行車に追従していきます。登り坂で全体にペースが落ちてきたようなシーンでも6速のまま登りきるのです。

このあたり、MTのギア比が適切であるおかげもあるでしょうが、なによりエンジンの地力があるおかげだと感じます。

フィットRSが搭載する4気筒DOHCエンジンは、MTを駆使して高回転を維持することで刺激的な加速が味わえる……というピーキーなキャラクターではなく、いかにも現代的なフラットトルクをワイドレンジで発生するタイプ。

ホットハッチ、ボーイズレーサーというオールドファン的なマインドからすると刺激が足りないと感じる部分もあるでしょうが、全域でトルクフルなことでACCとの相性が抜群なことが確認できたのです。実際、発進時はクラッチ操作だけで走り出すほど低速トルクは十分なのです。

また、マイナーチェンジに合わせて直噴燃料ポンプを改良するなど静粛性を向上させたことも、ACCを使った高速巡航でのゆったりした好印象に寄与していることも見逃せません。

せっかくMTを選ぶのだから、すべてマニュアル運転をしたいという気持ちもあるでしょう。しかし、ACCが疲労を軽減してくれるのは間違いないところ。ワインディングなど目的地でマニュアル運転を楽しむために、高速道路の移動区間は運転アシストに頼るというのも、また現代的なホットハッチの楽しみ方かもしれません。

■ホンダ・フィットRS Honda SENSING(6速MT)主要スペック
車両型式:DBA-GK5
全長:4045mm
全幅:1695mm
全高:1475mm
ホイールベース:2530mm
車両重量:1070kg
乗車定員:5名
エンジン型式:L15B
エンジン形式:直列4気筒ガソリン直噴
総排気量:1496cc
最高出力:97kW(132PS)/6600rpm
最大トルク:155Nm(15.8kg-m)/4600rpm
変速装置:6速MT
燃料消費率:19.2km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:185/55R16 83V
メーカー希望小売価格(税込):2,050,920円

(写真:門真 俊 文:山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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