エンジンはすべてBMWの最新型に切り替わった。今回試乗した2種類のディーゼルエンジンは520dツーリング(日本名523dツーリング)の2リッター4気筒ターボはB47D20型になり、530dツーリング(日本未導入)の3リッター6気筒ターボはB57D30型になった。
この新型ディーゼルエンジンは排気ガス中のNOxの処理のためにアドブルーを使うようになった。NOxは高負荷の条件下で増えてしまうから、これまで燃料の噴出量や直噴の回数やタイミングなどでコントロールしていたが、アドブルーを使えるようになったことでパフォーマンス重視のプログラムができるようになった。
つまりNOxを気にすることなくアクセルレスポンスやトルク、パワー、さらに燃費にも有利な条件で燃料噴射ができるようになった。2リッターディーゼルは380Nmから400Nmになり、3リッターディーゼルも600Nmから620Nmへと最大トルクはそれぞれ20Nmアップしている。そして欧州方式での測定での燃費は11%向上しているのはアドブルーのお蔭だろう。さらに一番の目的だったユーロ6cの排ガス規制もパスしている。
アドブルーを使いきってタンク残量がなくなるとエンジンがかからなくなる。これは法律で決められている。だからそれなりのケアは必要だが、なくなる前にインジケータで知らせてくれるから問題はない。欧州の走り方ではアドブルーがなくなるまでに1万5000kmくらい走れるという。もちろん走り方によりアドブルーの消費量は異なる。
日本の道路環境ならもっと長く走れるだろうとBMWのエンジニアは言っていた。つまりアウトバーンを200km/h以上でぶっ飛ばすような高負荷が続くとアドブルーも消費するからで、日本の高速道路を法定スピードで走っているとエンジンには楽だからだ。
アドブルーの補充口は、フューエルフィラーリッドを開けると見える。燃料給油口の左側にブルーのキャップがしてある小さな口で専用のタンクを使って入れるのが普通だ。ここから13リッターの容量のパッシブタンクに入る。ポンプを使ってエンジンルーム内にある9リッター入るアクティブタンクに移される。合計21リッターだ。アドブルーは凍結しやすいので、アクティブタンクは電気ヒーターが付いている。エンジンがかかるとこのヒーターは作動する。
(菰田 潔)