「E 63 S 4MATIC+」も時代の流れに沿ってダウンサイジングされています。排気量が1.5L小さくなったにも関わらず、最高出力612PS(450kW)(先代比+27PS/+20kW)、最大トルク850Nm(先代比+50Nm)を発揮。0-100km/h加速は 3.4秒(先代比-0.2秒)とスポーツカー顔負けの動力性能を得ています。
さらに、V型8気筒直噴ターボチャージャーエンジンに初めて気筒休止機能を搭載。
「Comfort」モードで走行中、エンジン回転数が1,000~3,250回転で低負荷の際に、2番、3番、5番、8番のシリンダーを休止することで燃費の向上に寄与します。
エンジンマウントの硬さを調整する「AMGダイナミックエンジンマウント」も注目。磁性流体エンジンマウントを採用し、センサーからの情報によりドライビングの状況を検知して、マウントの硬さを自動で調整する機構です。
通常走行時は、柔らかいマウントによってドライブトレインからのノイズと振動を効果的に遮断し快適性を向上。一方で、ダイナミックなドライビング時にはマウントを硬くすることでドライブトレインのロールモーションを減少しクイックなコーナリングを実現するそうです。
4WDの4MATICも進化しています。メルセデスAMGが開発した新しい四輪駆動システム「AMG 4MATIC+(プラス)」は、前後トルク配分が「前50:後50」から「前0:後100」の範囲で可変トルク配分を行うことで、612psものハイパワーを四輪へ最適に配分。
駆動配分を「0:100」のFRにすることで、サーキット走行時などにおいてドライバーの意のままに「E 63 S 4MATIC+」を操ることができる「ドリフトモード」が新たに搭載されています。さらに、サーキットでロケットスタートが決められるローンチコントロール機能(レーススタート機能)も含めて「ドリフトモード」などの操作性もより容易になっています。
トランスミッションも見所で、トルコンの代わりに湿式多板クラッチを採用し、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現した電子制御式9速スポーツトランスミッション「AMGスピードシフトMCT(マルチ・クラッチ・テクノロジー)」を搭載。
効率を向上させるとともに、セーリング機能により燃費を向上。さらに、シフトダウン時の自動ブリッピング機能やレーススタート機能も盛り込まれています。
まだ見所は満載ですが、特別なEクラス「メルセデスAMG E 63 S 4MATIC+」の価格は1774万円。ハンドル位置は左右から選べます。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久、塚田勝弘)