4月23日、鈴鹿サーキットで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権2017シーズンの開幕戦。
22日に行われた予選で見事にポールポジションを獲得したのはVANTELIN TEAM TOM’Sの中嶋一貴選手。それもコースレコード樹立の1分35秒907でのポールポジション。
昨年のチャンピオンだった予選2位のP.MU / CERUMO · INGING 国本雄資選手が1分35秒997と、36秒切りをしたのはたったの二人。その二人の争いも9/100秒というとんでもない僅差です。
決勝レースのスタートで若干ミスをしたという中嶋選手。しかしポールポジションの有利さを示すかのごとく第一コーナーではトップを死守します。
そんな中、2番手には予選3位だったTEAM MUGENの山本尚貴選手が浮上。国本選手は3番手に。
その後は2位以下に対して徐々に差を広げていく中嶋選手。35周のレースで10周目くらいには誰の目にも明らかな独走態勢が築かれていました。
スーパーフォーミュラー開幕戦の鈴鹿ではレース中に最低一本以上のタイヤ交換が義務づけられています。そのため、どこのタイミングでピットに入るかというところは各チームの作戦でかなり変わってきます。
昨年のチャンピオンチームP.MU / CERUMO · INGINGの2台はレース開始早々にピットインし、トップを行く中嶋選手はレース後半までタイヤを交換せず。
しかし22周目にSUNOCO TEAM LEMANSの大嶋和也選手がスプーンカーブの奥でスピン!コース上にとどまってしまうこととなり、セーフティーカーが導入されます。このセーフティーカーが、実は中嶋選手の強運とも言っていいでしょう。
普通はセーフティーカーが入ればトップが独走態勢で築いてきた2位以下のタイム差が帳消しになってしまう場合が多いのですが、セーフティーカーが中盤の順位に入ったために、隊列の中で中嶋選手はかなり後方となり、セーフティーカーが中嶋選手に追いつくまでは2周ほどかかりそうなポジション。
まだタイヤ交換を終えていなかった中嶋選手は、このタイム差を使って順位を変えることなくタイヤ交換を済ませてしまうのです。
レース再開後はもう突き進むだけの中嶋選手。十数周の残り周回数の間に2位の山本尚貴選手になんと5秒近くもの大量リード。
そしてチェッカーフラッグを一番最初に潜り抜けます。
パルクフェルメではマシンに立ち上がりガッツポーズ。
パルクフェルメではあまりパフォーマンスをしない中嶋一貴選手が珍しく見せたガッツポーズには、やりとげた実感がこみ上げてきたのでしょう。
強いときは運さえも味方についてしまう、ということを開幕戦に見せてくれた中嶋一貴選手。次戦以降もこの強さは続くのでしょうか?
次戦、第2戦は5月27〜28日に岡山国際サーキットで開催。第2戦は2レース制になります。開幕戦とは違う戦いぶりに注目してみましょう。
(写真・文:松永和浩)