普段から科学の最先端に接している竹内氏いわく、プジョーの生まれたフランスはメートル原器をはじめとする単位の基本を作り出すなど、元より科学の盛んな国で、今も先進的な研究を数多く行っており、日本の手ごわいライバルというイメージなのだそうです。ちなみに竹内氏の祖父方はその昔、関東大震災以前の時代に日本で最初期の自動車学校を経営されていて、幼少の頃から色々なクルマに囲まれて育ったそうです。
「3008はいざ座ってみて、非常に理詰めで心地よさを追及しているインテリアだと思いましたね。でも人を置いてきぼりにする冷たいロジックではない、そこがフランスらしいとも感じます」。
そんな竹内氏が、最初にi-コクピットの中に身を置いて感心したのが、ドライバーの気分や走り方に応じて雰囲気を変えてくれるアンビエントライト。
「人間は自分の周囲を認識する情報の80%を目から採り入れていますから、車内でリラックスしたり、ドライブを楽しむことが、心地よく感じられる過程に、大きく作用します。雰囲気を変えられるだけでなく、目の前に映し出す情報を取捨選択できる点も大きいですね。スマートフォンと同じで、必要な情報へ最小限のアクセスで、なおかつそれをパーソナライズできるという現代的な考え方が、計器の中にありますね。でも機能さえ果たしていればいいや、という設計ではないのがフランス的に感じます。それはドアパネルに張られた素材のタッチであり、パフュームディフューザーの香りであり。目以外の、触覚や嗅覚といった別の回路からも人間が落ち着ける、ドライバーが心地よい空間だと感じられる工夫がなされいます」
ワークショップに先立ってしばらく試乗してみて、走っている車内で他のクルマに囲まれている時ですら、「まるで自分の書斎にいるような落ち着きを感じられた」という竹内氏。確かに機能的なだけでなく、スーツの生地のようなツイード生地を張ったシートやドアパネルには、大人をも満足させるシックな雰囲気が漂っているのです。
通訳を通じて竹内氏の解説に耳を傾けていたプレヴォ社長も、時に強く頷きながら、ニッコリと微笑みます。
彼のいうSUV としてベストの要素とはそう、視線が高く落ち着ける空間でありながら、プジョーらしく滑らかで自由自在の軽快な乗り味を、同時に実現した一台ということなのです。
それこそ、まずは「触り」から、GW中のミッドタウンで体験してみてはいかがでしょう?
(NANYO Kazuhiro)