乗り心地の良さも美点で、試乗車はオプションの21インチタイヤ(275/35ZR21、ピレリP ZERO)を履いていましたが、電子制御のエアサスペンションをスポーティにしても若干硬くなるかな、という程度でスムーズな足の動きはほとんど変わりません。
前席はもちろん、後席も路面を舐めるような乗り心地が味わえますし、コンチネンタルGTと比べると320mmロングホイールベース化されていることもあってか、上下方向の動きがより抑制されているように感じます。
スポーティかつパーソナル感のあるコンチネンタルGTも魅力ですが、とくにフライングスパー V8 Sはフロントノーズが重すぎず、5.3mを超える全長、2.0mに迫る全幅という巨体にも関わらず、走り出してしまえばドライバーとの一体感のある走りが味わえます。
ベルトラインが高く、包まれ感のあるキャビンは、前後席どちらに座っても下界から遮断されたような心地よい空間になっています。もちろん、急なゲストを迎えても広々した後席が控えていますし、オーナーが後席でリラックスすることもできます。
それでも、スポーティなドライバーズサルーンであることは間違いなく、1台で何度も美味しい想いができる1台といえそうです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)