トヨタは、排出ガス浄化触媒の中心部と周辺部で断面積が異なるセルを一体成形した、世界初(2017年1月現在、トヨタ調べ)となる新設計の「FLAD」基材を用いた新型の触媒を商品化し、2017年春頃発売予定の次期レクサス「LC500h」から新型車両に順次搭載すると発表しました。
「FLAD」基材とは、「Flow Adjustable Designed Cell」の略称で、デンソーとトヨタの共同研究で開発されたもの。中心部と周辺部のセル断面積を変え、排出ガスの流れの均一化したことが特徴で、触媒貴金属使用量を約20%低減でき、触媒容量も約20%小型化できるという効果があります。
現在のガソリンエンジン用の排出ガス浄化触媒の基材は、円筒状のセラミックス(コージェライト)材料に、四角形や六角形のセルを軸方向に開口したハニカム構造となっています。この基材内部のセルの壁面には、触媒機能を付与するために白金(Pt)やロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)などの貴金属を含む触媒材料が塗布されており、排出ガス中の有害ガスを浄化しています。
従来型の排出ガス浄化触媒では、個々のセル断面積が均一で、触媒の全横断面にわたって排出ガスの流路が均一になっています。このため、排出ガスの流れが中心部に集中し、触媒の周辺部分では排ガスの浄化機能を十分に発揮していないという問題がありました。
この問題を解決するために、新型触媒の「FLAD」基材では、中心部のセルの断面積を小さくして排気ガスの流れる量を減らし、逆に周辺部はセルの断面積を大きくして排出ガスの流れる量を増やす工夫をしており、触媒の全断面をできるだけ均一に働かせるようにしているのです。
触媒の中心部と周辺部のセル断面積を変える「FLAD」基材のセル構造によって、触媒の全横断面にわたって排出ガスの流れを均一化することができます。このため、触媒の全横断面にわたってセルに塗布された触媒材料の浄化作用を有効に利用することができ、触媒貴金属使用量の低減と、触媒容量の小型化につながります。
(山内 博・画像:トヨタ、デンソー)