ポルシェ、フェラーリにも採用のZFアクティブ後輪操舵システムが生産累計10万基を達成

4年前にポルシェ 911ターボ・911 GT3の2車種向けに量産を開始したZFのアクティブ後輪操舵システム(アクティブ・キネマテイックス・コントロール ・システム:AKCシステム)が、10万基の生産を達成しました。

ZFによると、AKCシステムを搭載しているのは前述の2車種に加えて、フェラーリ GTC4 ルッソ、ポルシェ パナメーラ、アウディQ7、キャデラックCT6、BMW 7シリーズなどに拡大。高級車メーカー7社がZFのAKCシステムを採用しているということです。

ZFのAKCシステムの動作原理は、狭い市街地を低速走行する場合には、後輪を前輪と反対方向に操舵し、ヨーレートを向上させて回転半径を1割程度小さくでき、取り回しを容易にします。一方、時速60km以上の高速走行時や障害物回避操舵等の際には、後輪を前輪と同じ方向に操舵し、安定性と運動性能を同時に高める効果があります。

ZFが生産した10万基のAKCシステムの中で、4万基を占めるデュアルアクチュエータ・システムには、左右の後輪それぞれに1基、計2基のアクチュエータが搭載された構造になっています。このタイプのAKCシステムは2013年に、ポルシェの911ターボと911 GT3に採用されて初めて量産開始されました。また、フェラーリ GTC4 ルッソにも同じ構成のAKCシステムが採用されています。

最新のポルシェ パナメーラに採用されたAKCシステムでは、大型シングルアクチュエータがリア・アクスル中央に配置された構造になっています。

ZFは、スポーツカーや乗用車に限らず、AKCシステムの採用を、ピックアップ・トラックや小型車など、より多くのメーカーの様々な車種に広げることを目指しており、AKCシステムは、通常のエンジン駆動車からハイブリッドやEVまで、あらゆるタイプの駆動方式に対応できる、としています。

ZFのAKCシステムは、7社の大手メーカーの名だたる高級スポーツカー、高級乗用車に採用されていることからも、クルマの安全性や運動性能、操縦性、快適性を飛躍的に向上させることが市場で証明されており、今後ますます発展するものと予想されます。

(山内 博・画像:ZFジャパン)