間もなくシーズンが開幕するレッドブルエアレース。先日のキックオフミーティングでは、室屋選手から「2017年のチャンピオン獲得を目指す」と力強い宣言がありました。
また「レース中やトレーニングの「最後の最後」のところを、応援で折れそうなメンタルを支えて頂いてます」と、ファンの応援に感謝するコメントがありました。ミーティングの後、直接お話を伺える時間を頂けましたので、色々伺ってみました。
── 間もなくアブダビで開幕戦です。昨年は開幕の直前に色んな事が起きました(ルール改定、開発中のウイングレットが突然の使用禁止、レース直前に共通部品(Gセンサー)の変更・しかもそれが故障していた…など)。今年はルール改定もなく、驚くほど平穏に開幕を迎えようとされているように感じます。準備状況などはどうですか?
室屋:今の所なにも無い…という感じです。ですが、現地(アブダビ)入りしてから「何か」はありえると思っていて、油断しないようにしています。昨年の最終戦から多少期間が空きましたが、(チームとして)割と強い状態のまま開幕戦を迎えられるので、昨年の開幕より落ち着いている感じです。
── アブダビは、一昨年も旧機体(Edge540V2/現在、ポドランセック選手の機体)で予選3位、昨年も予選4位と室屋選手にとって得意なコースという印象です。
室屋:全体的にシンプルなトラックで飛びやすい(=易しい)印象です。開幕戦では、よりシンプルになるという傾向もあり、技量の差が出にくいようです。僕らはもうちょっとテクニカルなレイアウトの方が良いかなという感じはあります。
── 第2戦サンディエゴは、アメリカ(室屋選手の機体のワークショップがある)での開催。その際、第3戦千葉までの時間を使って大幅なアップデートを行うということでした。アップデートの方向性は、今の機体が得意な直線スピードを伸ばすのか、それとも旋回性能を引き上げるのか、教えて頂けますか。
室屋:メインはスピードを上げていく方向となります。具体的にはエンジンカウルの改良やエンジンの冷却システムのさらなる改善に重きをおいています。旋回性向上では新しいウイングレットの装着も検討していますが、装着すると速度低下のデメリットもあるため、今の所(ウイングレット装着は)五分五分です。
大きさとデザイン、装着・非装着について、トラックごとにシミュレーションを行っている所です。以前作った大きなものなら装着した方が速いのはわかっているのですが、認可が下りないため、そこまでのものが作れないのであれば作る価値があるのか、ということを含めて検討しています。機体のスピードが上がればオーバーGの可能性も上がりますが、現在はスピードを上げることがタイムに繋がりやすいと考えています。