日本の東洋紡が、世界中のエアバッグ用ナイロンの原糸供給量の4割を占めていることをご存じでしょうか?
その東洋紡が自動車用のエアバッグ事業を増強するため、2017年度から2020年度にかけて総額100億円の投資を行うことを発表しました。
その第一段階として、タイの既存織布工場からエアバッグ用基布の織布工場を分離、自社化して生産能力を倍増するということです。
東洋紡のエアバッグ事業は、1993年に当時の蘭・アクゾ社からエアバッグ用基布のノンコート技術を取得し、本格参入して始まりました。その後、従来のコート布より高生産性、低コストであるノンコート布を武器に、エアバッグ基布の生産を続けてきました。
2001年にはタイに基布生産の拠点を、2011年には中国、2012年には北米に拠点を設立し、日本を含む世界4拠点で世界中のエアバッグメーカーに応えています。
2014年には、ドイツの原糸メーカーであるPHP社をタイ・インドラマ社と共同で買収し、エアバッグ用ナイロン原糸の供給量で世界の4割を占めるまでになり、今では日系自動車メーカーだけでなく、世界のメーカーにエアバッグ用の原糸と基布を供給しています。
また、従来のサイドエアバッグではシリコン樹脂をコーティングしたエアバッグ基布(写真・左)が使用されていましたが、2010年にナイロン樹脂をナイロン原糸にコーティングした新しいコート布(写真・右)を開発、コーティングを分離せずにリサイクルできるコート布を提供しています。
(山内 博・画像:東洋紡)