ただし、ひとつだけ個人的に気になったのがフロントグリルの継ぎ目です。
マツダのアイデンティティである五角形グリルのホームベースキャッチャー側の交点部分が切れているんですね。ここは写り込みの美しさを考えると連続した金属のエッジにして欲しかったな、と。
しかし、それはかなり小さなこと。その些細なことが気になるというくらい新型CX-5のデザインの秀逸さは飛び抜けていると思います。
そこで懸念されるのは、保守層の支持です。
先代はよくも悪くも、それまでのマツダ車の進化、従来の国産車からの優れたイメージ、輸入車ほど派手ではない印象があったように思えます。それらを支持していたお客さんが「浮世絵だから良かったのにギリシャ彫刻になっちゃうと違うんだよな」となったりしないかな、と。
まあ、それくらい無駄な心配もしたくなるくらい、新型CX-5は斬新でスタイリッシュでオシャレです。ジャージやサンダルで乗り込むのには躊躇し、常に自分の身に着けるものにも気を遣うことになるかもしれませんが、それもいいかも、と思わせてくれる、それくらいのその気にさせるのが新型CX-5のデザインだと思います。
もし、愛車にしたなら常に背筋を伸ばして乗らなければ、そうして乗るべきクルマだ、と思わせてくれる、それが新型CX-5なのです。
(写真:前田 惠介/文:clicccar編集長 小林 和久)