積水化成品工業は、同社の発泡体「ピオセラン」が、12月に発売されたトヨタ・C-HRの座席シート部材に採用されたと発表しました。今後、トヨタの各グローバル拠点で順次発売されるC-HRへの供給も計画しているということです。
「ピオセラン」は、積水化成品工業のポリマーハイブリッド技術を採用しており、ポリスチレンの剛性とポリオレフィンの緩衝性の両方を備えているという特徴があります。また、成形金型と成形品(発泡体) の寸法の差異が小さいという寸法の再現性や、温度変化に対する寸法変化が小さく寸法安定性に優れている点もメリットとして注目されています。
従来では、手作業で座席シートのウレタンと固定具であるワイヤーを組み立てていたのを、「ピオセラン」 の寸法安定性を活かして、ワイヤーと「ピオセラン」を一体成形する技術を確立することができ、組み立て工 数の大幅な削減が実現しました。
また、この一体成形品を座席シートの芯材とすることによって、ウレタン使用量を削減して、軽量化に成功したことが、今回「C-HR」に「ピオセラン」が採用される決め手になったということです。
「ピオセラン」を座席シートに採用したことで、工数削減によるコストダウンと、軽量化による燃費改善効果や環境負荷軽減が期待 されています。
さらに「ピオセラン」は高い衝撃吸収性能も備えており、万一の事故の際、乗員が座席に沈み込むことを防ぎながら、衝突時の衝撃を吸収する機能も発揮できます。
積水化成品工業は、原料開発から部材設計を取り入れた成形までを一貫して行う世界でも数少ない化成品メーカーで、今後も「ピオセラン」の他車種への採用拡大を目指すということです。
(山内 博・画像:積水化成品工業)