トヨタとダイハツが既存の組織から独立した「新興国小型車カンパニー」を発足

トヨタとダイハツは、2017年1月1日付で既存の組織から独立した「新興国小型車カンパニー」を発足すると発表しました。

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トヨタが子会社のダイハツと両社を横断するかたちで同カンパニーを発足するのは、新興国、特にインド市場をにらんでダイハツの小型車に関する良品廉価なものづくり技術を活用しようとするものと見られます。

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同カンパニーの概要は次の4点で、企画・開発から製造まで一環して新興国市場のニーズにマッチしたクルマ造りを重視した内容になっています。

1.カンパニー内に新車を開発する新興国小型車商品・事業企画部、新興国小型車製品企画部と新興国小型車品質企画部の3部を設置。製造を担当するトヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング(TDEM)も、本カンパニー所属とする。

2.カンパニーは、新興国小型車商品に関してトヨタブランド車の商品・事業全般に関する企画業務を行う。

3.新興国向け小型車の製品開発は、ダイハツが担当し、カンパニー内の新興国小型車製品企画部と新興国小型車品質企画部が、トヨタブランド車としての最終的な開発・品質責任を担う。

4.TMAP(トヨタ・モーター・アジア・パシフィック)は、トヨタの現地生産車種の製造だけではなく、ダイハツ主体の新興国向けの小型車製造を支援する。

京都大学経済学研究科がアジア中古車流通研究会で公表している「急成長するインド自動車市場 盤石の覇者スズキと追うトヨタの挑戦」という資料を読むと、トヨタが同カンパニーを新設する狙いが見えてきます。下の円グラフは2005年と2015年のインド乗用車市場メーカー別シェアです。

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2005年から2015年はインド乗用車市場が急成長した時期で、その中でトヨタはシェア3.8%から5.0%に伸びてはいるものの、現代の14.2%から17.2%、ホンダの3.7%から7.3%と比べると、伸び悩んでいると言わざるを得ません。

トヨタがインド市場で伸び悩んでいる理由は、SUVのイノーバ、フォーチュナーは好調ながら、ボリュームゾーンの小型車エティオス、リーバが不調で、シェアの伸びを下押ししているからです。

このようなインド市場の現状から、今回トヨタが同カンパニーを新興国市場に特化したかたちで新設したのは、本格的にインドの小型車市場に注力するという意図があるものと考えられます。

インド市場ではマルチ・スズキが圧倒的なシェアを握っていますが、トヨタの同カンパニー新設で、今後のインド市場の動向が注目されます。

(山内 博・画像:トヨタ、京都大学経済学研究科・アジア中古車流通研究会)