米国のベンチャー企業 ニコラ・モーター(Nikola Motor)は、水素を燃料とする燃料電池を動力源とする大型トラック「ニコラ ワン (Nikola One)」を、ユタ州ソルトレイクシティで600人以上の報道陣を集めて発表しました。
「ニコラ ワン 」は、電気モーターによる駆動系で駆動され、容量320kWhのリチウムイオン電池と燃料電池を搭載しています。燃料電池からの電力でリチウムイオン電池を充電しながら走行し、800~1200マイル(1280~1920km)の航続距離があります。
1000馬力以上の出力と2000ft.lbsのトルクを発揮し、米国でクラス8と呼ばれている軽油燃料のディーゼルエンジンを搭載する従来型のトラックの性能を、完全なゼロ・エミッションで超えているということです。
「ニコラ ワン 」には燃料電池でバッテリーを自動的に充電するシステムが備えられていますが、万一燃料電池からの充電が停止しても、満充電なら100~200マイル(160km~320km)をバッテリーだけで走行できます。
「ニコラ ワン 」は当面リースのみで提供され、リース・プログラムでは、72カ月のリース期間中、保証とメンテナンスが含まれているだけでなく、水素燃料を回数制限なく充填することが可能です。
ニコラ・モーターは、これから「ニコラ ワン 」の製造工場を米国内に建設する計画で、2017年の前半には工場の設置場所を決定する予定です。米国とカナダに水素ステーションのネットワークを構築する計画もあり、こちらは2018年1月から開始する予定で、水素を製造する電力にはメガソーラー(大規模太陽光発電所)を活用して、エコをアピールすると見られます。
気になるバッテリーパックの構造は、発表によるとテスラ社と同様の汎用「18650サイズ」のバッテリーセルを多数個連結している模様で、1個のバッテリーパックの容量は107 kWhで重量は1000lb(450kg)であるとしています。
これから推測すると、発表されたプロイトタイプ車には3個のバッテリーパックが搭載されている模様です。だたし、量産モデルのバッテリーの搭載量については、今後のテスト結果で増やすことも、減らすこともあり得るとしています。
バッテリーパックの保証期間は7年間または1,000,000 マイル(160万km)に設定され、あらゆる天候・気候に耐えることができ、路面の凍結防止剤にも耐久性を備えています。
最近、日本のトヨタも燃料電池を搭載した大型トラックについて、米国で事業化調査を進めると発表したばかりで、今後トラック分野でも燃料電池車の開発・実用化が急速に進展するものと見られます。
(山内 博・画像:ニコラ・モーター)