突然の雪へ備えだけじゃない、オールシーズンタイヤのオンロードでの性能

2016年11月24日、東京で初雪が降った。11月に初雪は54年ぶり、さらに1875年に統計を取り始めてから11月に東京で積雪があったのは初めての記録。寒気が大きく南下してきて、太平洋上の低気圧が影響し都心に降雪という天気になった。

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気温が7℃になったら冬タイヤに替えようとアピールしても、気温が日毎に徐々に下がってくるなら対応もできる。しかし今回のように2日前の22日は富士スピードウエイでも半袖ポロシャツで居られるくらい気温が高い日だった。だからほとんどのドライバーは冬タイヤに交換していなかった。

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実は24日の朝からチラチラ雪が舞っていて、お天気キャスターも降雪どころか積雪すると予報していたので、東京都内のクルマは予想外に空いていた。昨シーズンの経験から夏タイヤでは立ち往生してしまうと心配してクルマでは出掛けなかったからだろう。

こうした心つもりは良いのだが、どうしてもクルマで出かけなくてはならない場合には困ってしまう。

そんなときはきっと、オールシーズンタイヤを履いていれば良かったと思うはずだ。北米のオールシーズンタイヤはM+Sと書いてあるが、冬道性能はあまり高くない。それより冬タイヤに近いセッティングになっているのが欧州風のオールシーズンタイヤである。その最新版がグッドイヤーVector 4Seasons Hybrid(以下ベクター)である。

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ドライ路面とウェット路面はほぼ夏タイヤ並みにしっかりグリップして走れるが、スノー性能も確保し雪道、シャーベット状の路面も走れる。アイスバーンでの性能はスタッドレスタイヤに分があるが、走る路面、止まるところの路面を見てアイスバーンを外せば問題ない。アイスバーンでもABSとESCが装備されているクルマなら、大きく滑ってしまうのは防いでくれる。

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タイヤのトレッドパターンを見ると、センター付近は細かいサイプが多く、アイスとスノーの冬道仕様になっていて、両サイドはドライとウェット路面に対応できるようにしっかりとしたブロックになっている。V字型になっているのも、夏タイヤとしてのコーナリング性能を上げ、溝を多くして冬タイヤの性能も上げるためのデザインなのだ。細かいサイプの部分は3Dワッフルブレードと呼ぶ溝が凹凸により支え合うことによってブロック剛性を確保しているから、夏の性能も上げられるのだ。ブロックの変形が少ないということは偏磨耗も少ないということで、オールシーズンタイヤの弱点を補っている。

こんな工夫が組み込まれたベクターの乗り味はどんなものなのか。BMW320iに履いて走行してみたので、そのインプレッションをお伝えしよう。

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タイヤサイズは205/60R16 92H M+Sである。