ステップワゴンモデューロXのインプレッションはまず、高速道路から始めました。
車高の高いミニバンは高速走行になるとフラフラしやすく、ドライバーは高速道路ではまっすぐ走らせようとステアリングで修正しています。実はこのステアリングの修正がドライバーの疲労につながる原因の一つです。
しかしこのステップワゴンモデューロXはふらつくことがなく、路面に接地してまっすぐ走るので、ステアリングの修正を行うほとんど必要がありません。
これはカーブでも同じです。ステアリングを切り始めるとすぐにクルマが動き始め、思い通りのラインをトレースすることができます。その際、クルマの傾きは非常に抑えられてフラットな乗り味です。正直試乗前は、マイナス15mmのサスペンションと聞いて、乗り心地は硬いのだろうなと思っていましたが、見事に裏切られました。
モデューロが味付けしたサスペンションは上質さ、すなわち乗り心地の良さを重視した味付けなので、ボディの前後そして左右の揺れは極力素早く抑えられています。さらに、車体前後のバランスを最適化することで、4つのタイヤにしっかりと仕事をさせることができるので、スポーティな走りも対応できるというわけです。
実際にワインディングをステップワゴンモデューロXで走行すると、ステアリング操作に遅れることなくクルマが軽い身のこなしをするので、ミニバンに乗っていることを忘れてしまいそうでした。
これまでスポーティなミニバンというと運転するドライバーは楽しいけど、同乗者は不快な気分になることがありましたが、ステップワゴンモデューロXは運転する楽しさとセカンドシートはもちろん、サードシートに乗った同乗者も快適というなかなか両立することが難しかったことを実現しています。
先進の安全装備、ホンダセンシングをはじめ、カーナビやドライブレコーダーまで標準装備して価格が366万5000円。充実した装備を考えると相当お買い得です。ステップワゴンモデューロXはトヨタのG’sや日産のライダーの強力なライバルになり得る存在といえそうです。
(萩原文博)