来年は頂点を目指す。ゆくゆくは宇宙へも!? ── レッドブル・エアレース 室屋選手シーズン報告会

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──  得意なコースはどちらですか?

テクニカルなコースの方が好きですが、機体は直線が長い高速コースが得意です。
低速の旋回が続くコースでは、ウイングレットが付いている機体の方一歩先を行くので、高速かつテクニカルなコースという事になります。

──  具体的には?

千葉ですね(笑) 千葉は横長で直線部分が長いですけど、バーティカルターンもあります。技術的には非常に難しいレイアウトですが、千葉はある意味全部がマッチングしていたと思います。

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──  苦手なコースは?

特にないですが、シンプルなコースでしょうか。機体が改良され、直線スピードは一番速いのではないかと思ってます。あまり直線が長いと、その先の旋回で一人だけオーバーGの可能性があります。

具体的には、速度域が340〜350kmを越えるとオーバーGするエネルギーに達するボーダーラインがあるのですが、他の機体はまだそこに達しないのでオーバーGの危険が低いのに対して、我々だけがそこを越えてオーバーGになってしまいます。速すぎる分、来年の対策が必要です。

──  自身の強みはどこでしょう。

他のパイロット13人は全員すごいプロフィールの持ち主なんですよね。空軍のパイロットだったり、実家が飛行機学校やっていたり……2009年組も同様で、皆に一歩先に行かれてしまいます。

環境的なところもありちょっと置いて行かれる事もありますが、1年ぐらい遅れて必ず追いついています。今年マティアスが優勝で、マットが2位ですから、来年あたり……コツコツと亀のように追いかけるのが得意です。しつこくやります(笑)

──  今年、ナイジェル・ラム選手が引退されました。ブライトリングパイロット同士で交流が有ったと聞きましたが。

ヨーロッパ戦が続いている時、オックスフォードの自宅に2週間ほど居候させてもらいました。その中で生活を見せてもらい、ナイジェル選手はあの歳(今年還暦)まで現役を続けられているのだなと勉強させてもらいました。

フライトになると真剣勝負で「コドモか!」と思う程負けず嫌いで衰えていません。レースを離れると非常に温和で余裕のある方です。

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ブライトリングチームは来年フランス人の若いパイロット、ミカ(2015年チャレンジャークラス・チャンピオンのMikael “Mika” Brageot選手)が参戦します。めっちゃくちゃ上手くて、今ものすごいトレーニングをしています。若干ビビってます(笑

──  来シーズンのテーマは?

やはり来年は総合優勝というところに(チームの)ポテンシャル的には届いていますので、いかにレースで勝ち進んでいくか-そこに焦点を当て、最終的に総合で勝てるという事を目指す年だと思います。

今も準備は進んでいて、機体もカリフォルニアの方で改造を進めており、あと2週間ほどで来年に向けたテストが始まります。チームとしては完全に2017年に向かって動いています。

自分自身は国内でフィジカル・メンタルトレーニングをはじめ、ありとあらゆる準備をしようと思っています。実力も溜まっているので来年は面白くなると思います。