アウディがFIA世界耐久選手権(WEC)から2016年限りで撤退し、電気自動車フォーミュラカーによる「FIA フォーミュラE選手権」に本格参戦するという衝撃のニュースが飛び込んできました。
10月26日、アウディのモータースポーツ部門で働く300名の従業員を前に、AUDI AG取締役会会長のルパート・シュタートラー氏は
「将来を見据え、電気自動車によるレースに参戦することにしました。」
「アウディのラインアップにおいて、今後電気自動車の比率が次第に高くなっていきます。アウディの先進技術を代表するモータースポーツのレースカーは、その技術力を示すものでければなりません。」
と述べ、アウディが今後も競争力を維持し続けるため、課題に注力することが重要であることから、今回の戦略的決断が取締役会で下されたことを説明しました。
18年間にわたって、積極的に耐久レースに参加してきたアウディは、合計106回の優勝、80回のポールポジション、94回のファステストラップを記録し、2度にわたってWECのタイトルを獲得。また、伝統のル・マン24時間レースでは13度の勝利をあげるなど、素晴らしい成績を残しています。
アウディモータースポーツ責任者Dr.ウォルフガング・ウルリッヒ氏は以下のように語っています。
「18年間にわたってアウディに大きな成功をもたらしたプロトタイプレースを離れることは、もちろん非常に辛いことです。」
「Audi Sportチームヨーストは、文字通りWECを席巻し続けました。この偉大な成功を分かちあったチームメンバー、ラインホルド ヨーストと彼のチーム、ドライバー、そしてパートナー、スポンサーの皆様に、心から感謝の意を表明したいと思います。本当に素晴らしい時間を過ごすことができました。」
また、フォーミュラーE参戦については
「2018年から完全なバッテリー駆動による電気自動車をラインアップに加えるアウディのブランド戦略に完璧にマッチしたものといえます。アウディは現在会社の歴史のなかで、もっとも大きな変革の時期にさしかかっています。FIAフォーミュラEへのワークスチームとしての参戦は、来年2017年から開始される予定です。このレースは、未来に向けてもっとも大きな可能性を持ったレースシリーズと期待されています。そのためにアウディは、現行の2016/2017シーズンから、チームABTシェフラー アウディスポーツとのこれまでの協力関係を強化しています。アウディのワークスチームとしてのフル参戦に向けて、現在技術開発にも積極的に参加しています。」
と発表しています。
最新技術を駆使したハイブリット車(LMP1-H)で、ポルシェ・トヨタと共に総合優勝争いを繰り広げてきたアウディがWECから撤退してしまうのはとても残念ですが、フォーミュラEにおいても新たな偉業を成し遂げてくれるであろうと期待が高まります。
(yuri)