最近、車載用リチウム電池向けのセパレータを手がける素材メーカーで、製造設備を増強する動きが続いています。
宇部興産でも車載用リチウムイオン電池の需要増大を見越して、同社堺工場(大阪府堺市)でセパレータ製造設備を増強することを決定しました。
リチウム電池のセパレータとは、リチウム電池の正極と負極を絶縁しながら、電解液中のリチウムイオンを通過させる微小な孔があいた分離膜のことです。
宇部興産が計画している設備の増強は、2018年4月完工予定で、現在堺工場で建設中の新規設備に続いての設備増設となります。この増強が完成すると、宇部ケミカル工場と堺工場を合わせた合計の生産能力は2.5億平方mになります。
宇部興産では、単に製造能力を増やすだけではなく、供給拠点を2カ所に分割することで、セパレータの安定供給につなげたいとしています。
同社の関係するセパレータ事業としては、2011年に日立マクセルと合弁で設立した宇部マクセル社(京都府乙訓郡)が手がける高機能塗布型セパレータがあり、この塗布型セパレータは新型プリウスのリチウムイオン電池に採用されています。
リチウム電池のセパレータはEV、HV、PHVといった電動車の性能に直結する素材で、素材メーカー各社のセパレータ事業の動きに注目が集まっています。
(山内 博・画像:宇部興産)