【ゆとり世代のチョイ乗り報告】最後の6気筒!?「ポルシェ・ケイマンS」を試す(後篇)

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さらにいいますと、街中での乗り心地は決して穏やかではありません。

タイヤ(ピレリ P ZERO)が、フロントは235/35ZR20、リヤは265/35ZR20と横幅が広くそして薄い上に、車高が低いため、タイヤが接地する路面の凹凸がもたらすショックを和らげる余裕が少なく、路面の粗さで乗り心地は大きく左右されます。

ホイール&ブレーキ

しかし、ポルシェのスゴイ所は、そういった外乱を受けた際にボディとステアリングがビクともしないことです。

街中でも高速道路でも、強めのショックを後々まで残さない。たとえ路面が酷くてもステアリングは1mmの動きさえ見逃さずにたちまちクルマの向きを変えるため、第一声に「しっかりしている」という感想を挙げたくなるのも頷けます。

搭載する水平対向6気筒自然吸気エンジンは、アクセルを緩やかに踏み込めば、それに呼応するようにモリモリとパワーとサウンドは高まり、1370kgの車体を突き抜けるように加速させていきます。

370Nmの最大トルクは4500~5800rpmと高めの回転域で発生させますが、かといって低回転域で加速が弱い心配は無用。

新型「ケイマン」の2.0L水平対向4気筒ターボは380Nmを1950~4500rpmで、2.5L水平対向4気筒ターボの「ケイマンS」は420Nmを1900~4500rpmで発揮させると聞くと、その走りへの期待は高まるばかりです。

ただし、あと一歩踏み込んで欲しいのが安全装備です。

自動ブレーキはなく、後ろ側方の死角に入り込んだクルマの存在を警告する機能もありません。この点については競合モデルに劣っていると言わざるを得ません。

それに真っ赤なインテリアはフロントウィンドウへの反射が強く、トンネルの出口などの明暗が切り替わる場面では危ないなとも感じました。

多少の欠点はあるものの、それらを上回る美点には抗えないです。

街中では人目を引くデザインとブランドが、一歩離れた郊外では人目に触れない代わりに爽快な走りがオーナーを満たしてくれるのですから。

今回試乗した「ケイマンS」の自動車税は5万8000円と決して安くなく、その他の維持費は想像もつきません。

でも、どうせ払うなら気持良く払えるクルマが欲しくなりませんか? それはスポーツカーでも、ミニバンでも、軽自動車でも変わらないはず。そして「ケイマン」は間違いなくその1台であると断言できます。

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(今 総一郎)

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