リチウムイオン電池を超えるか?「RISINGⅡ」事業スタート

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、リチウムイオン電池(LIB)を超える革新型蓄電池を開発するRISINGⅡ事業に着手すると発表しました。

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RISINGⅡでは、大学・研究機関、企業の3者が連携(集中研方式)して、現行LIBの5倍のエネルギー密度を持つ革新型蓄電池を開発し、容量5Ah級の実セルを試作する予定です。

2030年には開発した革新型蓄電池を普及価格帯の電気自動車(EV)などへ車載化することを目指しています。

今回のRISINGⅡには、京大を代表機関に16大学、10企業、4研究機関が参加しており、自動車関係ではトヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車などが、電気関係ではソニー、パナソニック、日立製作所などが名を連ねています。

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NEDOは前身のRISING事業を2015年度まで実施し、RISING事業で革新型蓄電池として亜鉛空気、ナノ界面、硫化物の3タイプでエネルギー密度300Wh/kgを検証し、現行LIBの5倍に相当する500Wh/kgも可能という見通しが得られました。

そこでRISINGⅡでは、2016年度から2020年度までの5年間に150億~180億円(予定)の予算をかけて容量5Ah級の革新型蓄電池の実セルを試作し。2030年度には航続距離が500kmのEVを実現したいとしています。

RISINGⅡでの研究開発項目は、その難易度が極めて高いことから、大学・公的研究機関と蓄電池メーカー・自動車メーカーの連携体制を作って、学のサイエンスと産のエンジニアリングを融合させて技術的なブレークスルーを目指すとしています。

実用化の目標時期である2030年から逆算すると、今後の開発スケジュールとして、2020年代前半までに革新型蓄電池の有望な電池タイプ・構成材料を絞り込んでセルの基本仕様を固め、電池モジュール・システムの開発フェーズに移る必要があるとNEDOでは見積もっています。

(山内 博・画像:NEDO)